入江杏 × 阿部海太 『わたしからはじまる 悲しみを物語るということ』出版記念トークイベント [悲しみと表現の合い間]
期日 : 2022年7月30日(土) 18:30-
会場 : iTohen
参加費 : ¥1,000(1drink付き)
予約 : 不要
6月に小学館から刊行された『わたしからはじまる 悲しみを物語るということ』の著者であり、グリーフケアの啓発・普及に努め、悲しみにある人たちに寄り添う活動を続ける、文筆家の入江杏さんをお招きし、著書についてお伺いしながら、悲しみに向き合うこと、そしてそこに生まれる表現との関わりについてお話いただきます。聞き手は本書の装画を担当した画家・絵本作家の阿部海太が務めます。
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『わたしからはじまる 悲しみを物語るということ』 入江 杏(小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388855
わたしからはじまる魂の再生の物語
読みながらいっしょに沈んでいく。
壊れそうになる。
最後に、極微の勁(つよ)い光に射ぬかれる。
――鷲田清一さん(哲学者)
繊細な、こわれものとしての「悲しみ」を、
粗略に扱わない社会のために、
静かに読まれるべき一冊
――平野啓一郎さん(小説家)
上智大学グリーフケア研究所非常勤講師として、
悲しみにある人々に寄り添う活動を続けている
著者の入江杏さんは、2000年に起きた
「世田谷事件」の被害者遺族です。
隣に住む、愛する妹家族を失った悲しみは、
6年もの間、語られることはありませんでした。
語りにひらかれたきっかけについて、まえがきにこうあります。
心ない報道、周囲からの偏見と差別、沈黙を強いる母への抵抗……
わたしは語りへと突き動かされ、無我夢中で心の断片を拾い集めました。
そのかけらから恥を洗い流してみると、そこには透き通った悲しみが顕れました。
――まえがきより
”被害者遺族はこうあるべき”といった世の中の「大きな物語」に抗い、
「わたしの物語」を取り戻し、魂の再生へと向かう軌跡の書です。
※グリーフケアとは
グリーフとは喪失に伴う悲嘆のこと。悲嘆をもたらす喪失は、私たちの日常にあり、決して特別なものではありません。大切な、かけがえのない、人やもの、関係、事がらを失ったとき、必要とされるグリーフケアは、治療法や処方箋により、悲しみや苦しみを取り除くものではありません。
愛しく思う気持ちがあるから「かなしみ」を感じるのに、かなしみをないがしろにした結果、かなしみを感じた自分を責め、さらに生きづらさが増していってしまう。
悲しんでいい。自由にあなたらしく十分に悲しんでいい。
これはグリーフケアの大切なメッセージです。
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【入江 杏(いりえ あん)】
東京都生まれ。国際基督教大学卒。
「ミシュカの森」主宰。文筆家。
上智大学グリーフケア研究所非常勤講師、世田谷区グリーフサポート検討委員。
犯罪被害の悲しみ・苦しみと向き合い、葛藤の中で「生き直し」をした体験から、「悲しみを生きる力に」をテーマとして、行政・学校・企業などで講演・勉強会を開催。「ミシュカの森」の活動を核に、悲しみの発信から再生を模索する人たちのネットワークづくりに努める。
著書に『悲しみを生きる力に~被害者遺族からあなたへ』(岩波ジュニア新書)、絵本『ずっとつながってるよ こぐまのミシュカのおはなし』(くもん出版)、編著『悲しみとともにどう生きるか』(集英社新書)ほか。
2022年6月、単著『わたしからはじまる 悲しみを物語るということ』(小学館)を発表。
【阿部海太(あべ かいた)】
画家・絵本作家。1986年生まれ。
神話や根源的なイメージをモチーフに絵本や絵画作品を発表。書籍の装画なども手掛ける。
『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店)で第26回日本絵本賞を受賞。
その他著書に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、
『めざめる』(あかね書房)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)、
『しびと』(汐文社)、『ほっきょくでうしをうつ』(岩崎書店)など。