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武田晋一 展「三四五」

 iTohenにて第171回目となる展覧会では、作家:武田晋一(たけだしんいち)氏をご紹介致します。

武田さんの作品は随分以前から拝見していた。と、言うのも ここiTohenの近隣: 大阪市北区中崎町にあるPEACE MOTHER(私はここの一ファンである)と言うカフェの壁面に掛けてあったのだ。その作品は繊細な筆致で幾層にも色を重ねられていた。そこからは平面から離脱しようと言う静かな野心のようなものさえ感じていた。しばらくしてそのカフェの店主から紹介を頂き、まとめて作品を観る機会を頂いた。当時、留学中のフランス:ブールジュから一時帰国とのことで、慌ただしい初見だったが、作品の多様さに驚かされ、急激に私も興味を引かれるようになったのだ。
日本から離れフランスに渡り、その武者修業を終え、現在彼は奈良のとあるところで活動拠点を据えている。その場の環境に応じ、いかようでも形や概念さえも変化させていく武田晋一。
そのような柔軟性は、果たしてどこからくるものなのか?と、必然的に湧いてきた疑問を投げかけてみた。

■そもそも何故、武田さんはアーティストを目指したのですか?
なぜなんでしょう。この質問が一番難しいですね。あまり自問したことないので。ただ、小さい頃から、人とは違うことをしたい、と強く思っていたようです。何かそれで自分と言う存在を保っているような。その行為の延長線にあるのが、自分にはアーティストだったのかもしれません。

■フランスに留学するまでの経緯を教えて下さい。
大阪でファッションの専門学校に行ってたのですが、途中から服を作るというよりもイラストレーションが楽しくなって、絵を描くことしかやってなかったんです。そんな時にフランスに造詣の深い学校の先生がいまして、その先生に「お前はフランスに行け!」と言われたんです。それがそもそのも始まりで、フランスと言う国もほとんど知らなかったのですが、フランスに行けば何かあるんのじゃないかと漠然と信じていました。そこから一年間フランス語の本を買ってきて勉強し、大阪市立美術館の美術研究所で石膏デッサンをしながら展示会を3回ほどした後フランスへ旅立ちました。

■何故、フランスへ?
先生の助言を鵜呑みにしていたということもあるのですが、イタリアという選択肢もあるにはあったんです。ただ、その当時で記憶しているのが、アレッシとジャン・プルーヴェを比べると(どういう判断基準かは謎ですが。。)、断然後者の方が好きだったんです。そういう理由でフランスに決めました。

■“何”を大切にして表現してますか?
展示をする場所や出合った素材から作品を創る場合が多いので、料理人ではないですが、できるだけその場所、素材にシンプルな介入で、新しい可能性を引き出せるようなコンセプトを与え、制作をしています。そして、詩的であるということとユーモアを大切にしています。

といった答えを頂いた。なるほど、武田は中心に常に“私”がいるのではなく、あくまで仲介者または媒介者であり、その事物の周りにあって、「良い加減」の距離を保つことを大切にしているのかも知れないと感じた。
立体作品を中心に平面作品も登場する今展。インスタレーションを展示構成の核に据え、「ここでしか出来ない」ものを発表致します。是非、この機会にご高覧下さいますよう宜しくお願い致します。

(記)SKKY/iTohen 鰺坂兼充

武田晋一 (たけだ・しんいち)

1981年 広島県生まれ
2003年 渡仏
2009年 ブールジュ国立高等芸術大学卒業
現在, 奈良在住

個展
2010 ”睦月の落穂拾い”, C.A.P. STUDIO Y3(神戸)
2008 ”La pluie/ラ・プリュイ(雨)”, Peace Mother(大阪)
2005 ”Goddess of Children”, GUILD GALLERY(大阪)

グループ(デュオ)展
2010 ”CAPアートマーケット2010”, C.A.P. STUDIO Y3(神戸)
2009 ”怖るべき子供たち”, chef d’oeuvre(大阪)
“道路と庭” with Ikumi Hiruma, FALL(東京)
“PERSONAL CIRCLES”, iTohen(大阪)
“こみまる展2009”, 吹田歴史文化まちづくりセンター(大阪)
“第5回 A-21国際美術展”, 原田の森ギャラリー(神戸)
“The Fuzzy Border for the New Spirit of Arts”, CASO(大阪)
“The Trickster” with Jocelyn Villemont, White Corners(ブールジュ・フランス)
“Vues d’ici/ヴュ・ディシー(ここからの眺め)”, Gallery Art-Tension
(ブールジュ・フランス)
“おじいちゃんとおばあちゃん” with Ikumi Hiruma, Peace Mother(大阪)
“36EYES”, iTohen(大阪)
“LittlemoreBCCKS第一回写真集公募展受賞作品展覧会”, リトルモア地下(東京)
2008 ”Pique-nique(ピクニック)” with Ikumi Hiruma, FALL(東京)
“Friends Around the Garden”, easf(パリ)
“Nuit des muse´es/ニュイ・デ・ミュゼ(美術館の夜)”, オブジェ美術館(ブロワ・フランス)
2007 ”Courant/クラン”, Toko University(台北)
“La pluie/ラ・プリュイ(雨)” with Ikumi Hiruma, FALL(東京)
“ImagoDrome/イマゴドローム”, Chapiteau de l’e´cole du cirque・Friche l’Antre-Peaux
(ブールジュ・フランス)
“Grand Ouvert/グラン・ウヴェール”, ロスピスサンロック美術館(イスダン・フランス)
2006 ”~” with Atsunobu Kohira, Pie`ce Unique(パリ)
“Premie`re Vue/ポミエール・ヴュ” (5th edition), PASSAGE de RETZ(パリ)

出版物
2007 「Courants」, Toko University
2006 「Premie`re Vue 5th edition」, PASSAGE de RETZ