2012.4.18 _ 2012.4.29
iTohenにて第218回目となる今展では、関西を拠点に活動を続ける辻元小百合氏をご紹介致します。弊廊では4度目の企画展となります。
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去る2011年は「サクラ」がモチーフとなった作品が中心となりました。
今回も「花」に戻り、新作ばかりで15点ほどの展示を予定しています。
日常生活の、誰にとっても特別でもない風景を切り取って描き続けてきた辻元。
しかし、花を意識的にフォーカスして描くようになってから、
どこかしら「非日常」を見ている気がしてならないと言います。
「日常なのに日常じゃない。なんだか夢のなかを描いてる気分です」と
語り聞かせてくれました。
展覧会のタイトルとして据えた言葉は、「ヴェール」(veil : 女性の顔や頭を覆う薄い布。はっきりと分からないように覆い隠すもの)。
夢と現実、日常と非日常など、目には見えない境界には、1枚のうすい膜があるようだ…という考えからつけられたそうです。
と、言うことは、今回はその「薄い膜」を絵として表現してみたのでしょうか。
ともかく、僕の手元に送られてきた新作の画像を見て、ドキリとしたのは確かです。
単なるリアリズムを追求したものではなく、ましてや技術力を誇示するものではありません。少し狂気さえも感じてしまう辻元の作品。意味深で、同時に絵として間違いなく美しい。
ふと気付けば、その「薄い膜」に取り囲まれてしまった自分が、辻元の絵の中に溶け込んでしまう錯覚を覚えてしまいました。
僕にとって、その膜は、何とも心地よく柔らかい感触で、重力という「縛り」からの開放につながるきっかけを与えてくれるようなものだったのです。
是非、この機会にご来場頂き、ご自分の目で確かめにいらしてください。
<記> iTohen 鯵坂 兼充
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辻元小百合 Sayuri Tsujimoto
2006年 個展「リリ」(iTohen) 2007年 iTohen+SEWING GALLERY 企画公募展 参加 2007年 岩瀬ゆか+辻元小百合+吉實恵 3人展「みつめ」(iTohen) 2008年 個展「メルシ」(iTohen) 2009年 協同企画公募展「おんさ」参加 2009年 個展「とれもろ」(iTohen) 2011年 個展「サクラ」(iTohen) 他多数 [受賞歴] 2005年 第5回アジアデザインコンペ 入選 2006年 第5回TIS公募 入選 、第11回リキテックスビエンナーレ入選 ACRYL AWARD 2006入選 2007年 TOKYO ILLUSTRATION2007 入選