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矢田 勝美「いのちをつなぐ海のものがたり / 出版記念展」

iTohenにて第215回目となる今展では、関東を拠点に活動を続ける矢田勝美(やだかつみ)氏をご紹介致します。

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弊廊にて4度目となる今展。今回は、これまでの発表の形式とは異なり、2011年の夏に取材した伊勢湾、海で働く漁師の映像、数点の新旧の絵、そして写真をご披露致します。
と、言うのもこの2月8日に東京にあるラトルズと言う出版社から「いのちをつなぐ海のものがたり」と題した本が刊行されました。この著者である矢田勝美さんの、出版記念展というのが今回の趣旨となるわけです。

以前から「海」のことについて、いつかは本に記したい・・とお話を伺ってました。
実は矢田さんのご実家は三重県鈴鹿市にあり、両親、そして実の弟さんまでもが
漁業に携わって生活を成り立たせています。

そんな家庭に育った矢田さんが、東京と言う都会に出て、
イラストレーターとしての立ち位置を確立する時に、
「自分しか出来ない仕事」としてたどり着いたのが“食”に関する視覚表現でした。

そんな表現を積み重ねてきて、今するべきは、家族を通して第一次産業の実態を、
広く知ってほしいと言う行動だったのです。

肉も、魚も、ましてや野菜さえも、普段食べている“いのち”は、
加工品としてスーパーに並び、それを金銭を介して購入している方が大多数でしょう。
僕も例に漏れず、その一人です。
ここで忘れがちなのは、その“いのち”をとりあげている人々の仕事です。

本文中にも出てくる“船板一枚下は地獄”と書かれてるように、
漁師という仕事は第一次産業のなかでも非常に危険な作業を伴う仕事です。

お父さんの若かりし頃には獲れていた魚が、今や希少な存在になっていること。
環境も日常的にテレビに取り挙げられるように、日を追うごとに条件が悪くなっているそうです。

そんなネガティブなことだけを列記したところで何の解決にもなりません。
矢田さんは、矢田さんなりの“武器”(この場合で言う、視覚表現が出来る立場として)で今回、こういった現状を紹介して行きたいと思い至ったとのことです。

昨年2011年の夏でしたか。 こういった経緯をお聞きし、本の編集とデザインと言う形で、僕達も関わらせて頂きました。

是非、この機会に本を手に取りご覧下さい。そして、“食べる”ことが、いかに大切な作業なのかを考えていく機会にして頂ければ、関係した一人として大変嬉しく思います。

<記>  iTohen 鯵坂 兼充

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矢田 勝美 (やだ かつみ)

1968年9月8日 三重県鈴鹿市生まれ
1992年  女子美術大学 産業デザイン科卒業
1997年  デザイン事務所勤務を経てフリー
2004年 「やさしいごはん」ぶんか社より出版

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1999年5月 個展 Green Day / 木及久兵衛 (国立)
2003年8月 二人展 /ゆりの木(国立)
2004年3月 「やさしいごはん」出版原画展 / アグレアブル・ミュゼ(国立)
2004年4月 個展「やさしいごはん」/ ギャラリーえいじう (四ッ谷)
2004年10月 個展  / 而今禾(三重県関町)
2005年11月 個展「とっておきのおやつ」 /iTohen(大坂)
2007年7月 個展「日常の風景」 / iTohen(大坂)
2008年6月 個展「土の記憶」 /ギャラリー福果(神保町)
2009年6月 個展「日々のこと・つながりについて」 /ギャラリー福果(神保町)
2010年7月 零のゼロ2010 /埼玉 県立近代美術館(埼玉)
2010年7月 個展「 L I F E 」 / iTohen(大阪)

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