2015.4.8 _ 2015.4.19
iTohenにて第292回目となる今展では、関西を拠点に活動する3名の作家をご紹介致します。山内庸資(やまうちようすけ)さんは、ここiTohenでは馴染みの作家となりました。森太三(もりたいぞう)さん、そして林勇気(はやしゆうき)さんとは、とある場所で顔を合わせたそうです。そこで出会ったほぼ同世代の作家たちの中に、言葉に言い難い共有できる感覚があったのでしょうか、今展に発展するに至りました。
《木を見て森を見ず》と言う言葉はよく耳にします。物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うこと、と意訳にあります。
この三人が展覧会のテーマ(またはタイトルとして)取り上げた《機を見て森を見る》は、よくよく考えると意味が全く異なります。細部に気をとられながらも、全体を見る。俯瞰する。卓越した精神がなければ、このような視点を持つことは大変難しい作業でしょう。
この展示は、誰がどれを、、と言った説明がしづらいものになっています。逆に言うと、そんなことでは、なく三人寄れば文殊の知恵ではありませんが、お互いが補完しあって出来上がった一つの空間とも言えるでしょう。ぜひ、この機会にご覧いただければ幸いです。
下記は、この企画を考えた山内さんによるコメントです。真摯に美術というものに取り組む姿勢がよく現れたものだと思います。
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今回の展覧会は森・林・山内と木にまつわる3人が集まり、 「木を見て森を見る(You see the forest for the trees)」というタイトルを付けました。
もともとは、亀岡にあるみずのき美術館で開催された企画展 「HOMEPARTY02」で参加作家としてお二人に出会ったのが最初のきっかけです。
その展示を見た時に、またいつかこの3人で違う形で何か出来ればと思っておりました。
ちょうどその頃に、鰺坂さんからiTohenでの企画展のお声がけをいただき 今回の展覧会をする運びになりました。
ただ鰺坂さんから、展覧会をするにあたり1点だけリクエストをいただきました。
それは、今までのiTohenにはない展示をしてほしいとの事でした。
僕自身、現在はイラストレーターとして活動をしておりますが、 それまで現代美術の世界で作品を発表しておりました。
しかし、現代美術という世界がとても閉鎖的に感じ、様々なジャンルの垣根を超えて作品を制作をしていきたいと思い、 iTohenの門を叩いた事が今のイラストレーターの道に繋がっていると思っています。
今回、お声がけした森さんと林さんは美術と映像という世界で長く活躍・活動をされております。
今回の展示は、僕自身の垣根を越えるきっかけをくれたiTohenという場所への恩返しであると同時に、 ここから様々なジャンルの垣根を超えていくという意思表示でもあります。
また最近思う事が、世の中が分かりやすいものをとても受け入れられやすい傾向にあり、 分かりにくいものが拒絶させれている様に感じています。
僕自身、イラストレーターとして分かりやすい事(人に伝わりやすい事)が とても大切なことだと承知しているのですが、 それと同時に分からない事も考えて受け入れていく事がとても重要だと思っております。
そう考えると、これからは特に木(分かりやすいもの)を見て森(分かりにくいもの)を見る事を 同時にしていかなくてならないのではないか、という思いも込めてこのタイトルにしました。
長々となりましたが、少しでも分からないものを楽しんでもらえるきっかけになればと思っております。 どうぞよろしくお願いいたします。
記_山内庸資