STORE

iTohen

exhibition

past

松井一平 個展「闇を灯すな」

iTohenにて第287回目となる今展では、関東を拠点に活動する松井一平さんをご紹介致します。

ふとした折に京都の料理店(yugue_ユーゲ:京都府京都市左京区下鴨松原町4-5 ※松井さんの作品は現在でも展示中)で見かけた松井さんの作品に釘付けになりました。

全くの不意打ちというのでしょうか。こじんまりとした、でも入った瞬間に「ここは美味しい店に違いない。」と確信を持たせてくれる場所です。そこに作品のサイズは小さいものの、確かな存在感を放ったものが店内のそこかしこに点在し、飾られていました。

食事や会話を楽しむも、どうにも気になって仕方がない。絵を見ているとソワソワしてしまって落ち着かない。僕の中の好奇心という名の<虫>が騒ぎ出してしまったようでした。 この作者は一体誰なのか?酔った頭で自宅に戻るなり、ネットサーフィン宜しく辿り着いた名前が、松井一平さんだったのです。

風景をモチーフとした作品が多いようですが、何より闊達な線の描写に魅了されました。私見にすぎませんが、こもった空気を切り裂くような、切り裂いた先に在る清涼な酸素を胸いっぱいに吸わせてくれると言うか。。そんな自由を与えてくれる表現者に思えました。

聞けば、音楽活動もされると言う氏。なぜ絵を描くのか?なぜこのような仕事をするのだろう?松井さんにいくつかの質問を投げかけてみました。

「ギターを担当しています。現在もバンドなど、さまざまな音楽活動を行っております。」

ジャンルをお聞きするまで、てっきりひっそりとしたアンプラグドな演奏を好まれる方かと思いきや、<ハードコアパンク>をされると言う。人は見た目で判断してはいけない。そう自戒しつつ、絵と音楽の関係性を自身の中でどのように共存させているのかをたたみ込むように尋ねてみました。

「ほぼ同時に始めて、これまで続けてきました。絵は子供の頃は親が絵を描くので物心ついたころには自分も自然にはじめてました。父が音楽をやっていたので、楽器とレコードなども最初からありました。さかんに発表しはじめるまでは一人でコソコソ描いていたのですが、バンドやアーティストにレコードジャケットの絵などを頼まれたりして発表してきたことは、これまで継続してきた要因のひとつだと思います。」

またこのようにも応えてくれました。

「音も絵も生活の延長線上にあることがわかって、遠くないものだと感じました。目の前に起きてることの向こう側に在るものが、日常に潜んでいることが理解できました。言葉で言い表せないものに、音で近づいたり絵で近づこうとしてる気がします。」

僕は思うのです。松井さんにとって重要な事柄は何かの距離感を図ること。いわば<間>について言及することなんだと。判断を限定することは危険な事とは重々承知した上で、現時点では、このように松井さんの仕事に興味を持ったところがここだったんだと、一旦落ち着くことにします。

そして、まとめて作品を拝見する機会を待ち望み、松井さんの作品の中にしかない<間>の中で自由に遊ばせて頂こうと、そんな気持ちでいるのです。

大阪で、そしてここiTohenでは初めての展覧会となります。この機会にぜひご来場くださいませ。

記載_iTohen 鯵坂兼充

松井一平(まつい・いっぺい)
CD・レコードジャケット・書籍をはじめ、様々な媒体で作品を発表。最近では植本一子の著書『かなわない』の装画などを手がける。

www.ippeimatsui.com