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山室桂子 作品展「波のあと」

iTohenにて第253回目となる今展では、現在、関東に拠点を置く山室桂子(やまむろ・けいこ)氏をご紹介致します。弊廊では初のまとまった発表となります。


このiTohenでもtwitterなるものを使い始めて気付けば結構な時間が経過しました。山室桂子さんの活動を知ったのは、実はそのtwitterにフォローされたアイコンを見てからのことです。
1cm×1cmに満たないその小さな画像は、今やインターネットや携帯の充実により特に不思議でないものになりました。皆さんもご周知のように、このように情報を収集するための道具には事欠かないご時世になりましたが、その分、量の多さについていけず見落としがちになっているのが、みなさんの日常ではないでしょうか? 僕も類にもれず、そのような一人です。もっと正直に言うならば、「何をどう見れば良いのか」さえも分からなくなってきました。明らかに「オーバーヒート」してる状態です。
そんな中に発見した小さな小さなアイコンに、どうにも説明のつかない興味を掻き立てられ、彼女のサイトを辿っていくと、やはりご自分の作品を掲載されていました。だいぶ若い方と想像がつくものの、連絡をとりあう中で、当時 現役の学生というのに、その作品の質の高さに驚きもしました。2012年に「推薦作家展」と称して、作家として生き抜いていこうという気概を感じられる方に数点の小品を募って企画展を開催しました。そこでようやく原画を拝見しましたが、デジタル上では判別できなかった「深み」や「奥行き」のようなものを感じ取れて、やはり何でも自分の“生”の眼で確認しないといけないと思ったものです。

彼女は早い段階でイラストレーターになりたいと考えていたそうです。実現したい気持ちは、ノートに一日一ページでもいいから何か描こうと決心させ、実行させたと言います。
現在の作品でもそうですが、主な画材に“鉛筆”を採用している理由も、その頃から愛用している中心的な存在だからと教えてくれました。

瑞瑞しくもあり、儚げでもある女性が物語の中心なのでしょうか。時には動物や植物たちを具体的に表現して淡い色彩の中に閉じ込めています。

静かですが、脳裏に確かに焼き付きます。癒す、と言う言葉はあまり用いたくはありませんが、山室さんの作品には、「確かさ」があって、腹の底の方に、じんわりとした温かみをもたらしてくれます。

学生時代が終わり、社会人になりたての彼女が、自分の本拠地ではない関西で初個展を開催致します。

是非、この機会に足をお運び頂き、ご自分の“生”の眼でご覧頂ければ幸いです。

iTohen 鯵坂兼充

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山室 桂子  Keiko Yamamuro

1989年 兵庫県生まれ
2012年 女子美術大学 芸術学部 デザイン学科 ビジュアルデザイン専攻 卒業

2011年 絵や詩の制作、活動を開始。日常から立ち現れる、人の感情や気持ちを表現する。

2012年 推薦作家展 糸 会 糸_eight 展(大阪/Gallery iTohen)
共同企画公募展おんさ(大阪/Gallery iTohen)
THE TOKYO ART BOOK FAIR 2012
THE NY ART BOOK FAIR 2012

2013年 「たえず呼吸する景色」展(東京/Gallery&Cafe FIND)