2013.4.3 _ 2013.4.14
iTohenにて第242回目となる今展では、城下浩伺(しろした・こうじ)氏をご紹介致します。
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城下さんの作品に初めて触れるきっかけは、つい最近のことです。
たしか昨年の9月頃でしょうか。
とある方を介して、なかば強引に連行されるように現れた城下さんは、長身でスラっとしていて、着ているものやかけている眼鏡を拝見する所、非常に洗練されてる方でした。
挨拶程度の話を交わし、作品を拝見して驚きました。理屈や時代性、コンセプトなどはまあともかく、作品そのものの持つ“密度”に圧倒されたのです。
僕はまさに、その彼の作り上げた絵(物語と言っても差し支えないでしょう)に、はまりこんでしまったのです。
何に例えるべきか・・迷路、地図、暗号・・・僕は、その絵を理解しようと、自分の“知っている”ものに置き換えてみます。なぜなら、安心するから。わからないままだと不安だから。でも、そもそも“理解する”とは何だ?と、彼の作品を拝見する短い時間に、色々な感情を自分なりに総動員してもみたのです。
そうして彼の存在を知ることになりました。
聞けば創作活動に本腰をいれたのは2005年からとのこと。1ヶ月に1枚描くと自分の中で課題を設定したと言います。その設定は、緩やかに壊れてはいったようですがその分、作品を作品たらしめる密度が上昇していったようです。気付けば2年ほどをかけて完成したその12枚の作品は、今の城下さんの基盤を築く為に必要な時間と枚数だったのでしょう。
城下さんの作品のほとんどがモノクロームで構成されています。何かの問題を抱え、それを払拭するために描いているようにも見えるそのスタイルは、僕が考えるものとは全く違うようで、本人はいたって健全で、陽気で平和な気持ちが中心にあると言います。
紙にペン、それに墨汁を使うスタイルも一貫していますが、これは“どこでも手に入るから”という実にシンプルな理由から。ほんとに“大真面目”にやれば、誰でもできるはず、と信じて疑わない、城下さんなりのメッセージも込められているようです。
今展が自身にとって初めての公での発表となります。是非、ご来場いただき原画を拝見してください。その精緻さに眼を見張ることは間違いありません。
iTohen 鯵坂 兼充
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城下 浩伺 Koji Shiroshita
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