2013.2.20 _ 2013.2.24
第239回目となる展覧会では、関西を拠点に活動する西山悠子(にしやま・ゆうこ)をご紹介致します。
*毎夏に各地域でギャラリーとして空間を持つ方々と協同で「ONSA おんさ」と題した企画展を運営しています。 今年で6回目を数えることになりました。プロやアマチュア、また年齢や性別、職業も問わないこの企画展の事の発端の一つに、美術家であった故 永井宏さんが提唱され生涯を通じて実践されてきた※注「ネオ・フォークロア」と言う考え方に深い共感を得たことも理由の一つです。
「誰でもモノづくりが出来る」として自身が率先して音楽を作り、弾き語り、詩を書き、出版社を立ちあげ本を執筆し、また作品を作り発表し、各地でワークショップを活動的に開催し賛同者を得て・・・と多彩な足跡と意義を残されました。果たして、このように活動されてきた、善き先輩の声を形として引き継ぐことは我々の世代で出来るのか?またそのヒントを僕達の時代感覚と言語に置き換えて発展していけるものだろうか・・?そういったことが種になり、運営しているのがこの企画展なのです。
その展示に応募し、参加してくださった中のお一人に西山悠子さんがいらっしゃいました。そうして彼女の仕事を知ることになったのが、今展に至った経緯です。
力強く握りしめたことを想像させる筆致はダーマトグラフ(芯にワックスを含んだ色鉛筆)を使っています。モチーフは自転車の一部や、ハサミ、キャンディーなど誰もが知っているものを描いてはいますが、西山さんの手にかかると俄然、そのもの一つ一つが、あたかも呼吸をしているように感じられたりするのです。
「描く」ことによって、生命を吹き込みたい。そんな欲望と言えるものを感じた彼女の作品は、しかし押し付けがましいことはなく、魅力を放つものでした。
活動を続けていくうちに、西山さんの興味の一つに「作品を売ること」に目が向いたと言います。決して「儲けたいから」が優先順位の上に来ているわけではないようですが、作品を所有して頂くためにどういう手段が有効だろうか?と考えざるを得なかったと言います。
その結果、近年ではシルクスクリーンに着手し、いわゆる複製画を作ることで、オリジナルと比較した時に安価に抑えられるものを選択もしています。「絵」を所有すると言うことは、どういったことなのでしょう。多分、家にはテレビ(見ない方もいますがそれはさておき)、ラジオ、冷蔵庫、掃除機、ソファに布団、服に靴・・とあらゆるものが金銭を通して、買われて、そこにあるはずです。でも、「絵」となると・・それは格別、必要なものではないはず。無い・・方が多いでしょう。しかし、「絵」のある生活は、たぶんにして、その人の生活にある種の「彩り」をもたらすはずです。一つ見方を変えると「ヒント」を手に入れる・・と言っても過言ではないと僕は考えます。
さて、西山さんの差し伸べる絵からはどんなヒントを得ることが出来るでしょうか。是非、ご期待ください。
※注=地域コミュニティや特定の民族によって創作され伝承されてきた有形無形の文化資産と記されている。ネオ=「新しい」を意味するギリシャ語。
iTohen 鯵坂 兼充
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展覧会歴
2002 壁画展示 パパパ展(南船場 hapshop)
2003 二人展drawing high (gallary spoon) ライブペインティング(イベント01domino)
2004 yuma展(京都) ポストカードブック「マイサンタクロース」掲載 冊子mimi挿絵連載
2005 大阪コレクション企画グループ壁面制作、二人展Re;秋意/yuma(大阪/spoon)
2006 西山悠子展/su1(D&DEPARTMENT PROJECT 東京店、大阪店)
2009 西山悠子展/da-ma(京都/喫茶ギャラリmizuca)
2012 西山悠子展/モノクロ線画と手刷りの版画ポスター(滋賀/アートミュージアムN0-MA)
2013 自転車とはさみとキャンディーと 西山悠子作品展(大阪市北区本庄西/iTohen)
西山悠子 Official Site