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椎木彩子 作品展 「何処でもないし、誰でもない」

iTohenにて第279回目となる今展は、東京を活動の拠点に据える椎木彩子(しいき・さいこ)さんの新作をご披露しております。関西また弊廊では初となる発表です。


椎木さんと初めてお会いしたのは2年ほど前、ここiTohenでのことでした。東京は神宮前にあるTAMBOURIN GALLERY(タンバリン ギャラリー)さんに紹介されて来たという彼女は、どこか自信なさげで拠り所を探しているような雰囲気がありました。関西には縁がなく作家としての活動も始めたばかりという状況、その不安は当然のことでしょう。でも、TAMBOURIN GALLERYでの初個展は椎木さんにとって「表現者としての基礎を作ってくれた場所だった」と言います。会話していく中で、職業としてイラストレーションを軸に活動を続けていくといった覚悟は垣間みれた様に思いました。
そんな経緯から数年越しになりましたが本展へと発展しました。

今回の展示では、東京・台湾・大阪の3都市を行き来し、旅をしながらみた風景や静物を、自身の記憶と重ね合わせながら描いた17点の平面作品で構成されています。

例えば道を歩いている時にふと「この風景。なんだかみたことがある」という体験は誰しもが一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。椎木さんはリアルに感じたその場面を記録し紙の画面に落とし込んでいくことで、その出来事をさらに深く考察する作業を行っているようです。それは自身の心の奥底に眠っている記憶や感覚を掘り起こす作業とも言えるかも知れません。

また、椎木さんの作品の特徴は、線の集合と面の余白、またその鮮やかな色彩の組み合わせにあります。おそらくその風景を写真でみるとなんの変哲もないものだと思いますが、椎木さんによって絵に転換されると風景も静物もこれほどいきいきとするから面白い。小さなひとつひとつにも光が当てられているようです。
そこに彼女の表現者として、また一人の女性としての前向きな姿勢が感じられます。

今展は5日間と短い展示期間ですが、作家本人が関西に滞在し全日在廊致します。
是非、この機会にご来場頂き、会話を交えて作品をご高覧いただけると幸いです。

記 iTohen 角谷 慶

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椎木彩子(しいき・さいこ)
1983年 東京都生まれ
文化服装学院アパレルデザイン科卒業後、峰岸達氏に師事。
その後イラストレーターとして書籍、音楽の媒体でイラストレーションを描く。
平行して東京、台湾、大阪で展示活動中。
展示の経歴
2011年 タンバリンギャラリー(東京)
2013年 タンバリンギャラリー(東京)
2014年 61note(台北)
2014年 iTohen(大阪)
その他グループ展多数。受賞歴
2012年 ペーターズギャラリーコンペ(人物イラストレーションをテーマとしたコンペ)
文藝春秋 大久保明子賞 次点
2012年 GALLERY HOUSE MAYA 装画を描くコンペティション入選
2014年 GALLERY HOUSE MAYA 装画を描くコンペティション入選

http://shiikisaiko.jimdo.com