2014.6.25 _ 2014.7.6
iTohenにて第272回目となる今展は、関西を拠点に活動する写真家 :小西 健三(こにし・けんぞう)さんをご紹介致します。
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小西さんは普段、商業的な立場で(いわゆる生計を立てるために)写真を撮られています。大学を卒業後、ただ単純にカメラしか使えなかったので・・・と謙遜した答えを頂きましたが、それ相応のキャリアを積んで今があります。
写真を専門的に学んだ全員が全員、写真の仕事をするわけではないでしょう。小西さんには、何かの形でフィットした手段だったのかも知れません。
食べていくための写真と、自身が表現したい写真では、小西さんの中にどうしても埋めきれない距離があるようで、「仕事にはルールがあって、個人の表現にはルールがないことが大きな違いだと思っています。」と胸の内を明かして下さいました。
ルール。
規則や常識、定義やマナーとも言い換えて良いでしょう。
どこに住もうが、社会の中で暮らす人間にとっては必要不可欠なものだと思います。でも、違った視点に立つと、それは想像力を欠くものと言えなくもない。こんな時には、このように振る舞えば、まあ問題ない・・・と言う思考法は、暗黙のルールに「乗っかった」ものであり、何かを「発展」させるには、あまり相応しくない方法とも取れます。
小西さんの作品を拝見すると、画面の中に風景があり そのどこかがクリスタルの様に光り輝いています。自然物と人工物が同じ画面に同居しているとでも言いますか・・。ともかく不思議な風景に生まれ変わっています。ノイズのようにも感じるその「異物」は、デジタルの既存の機能を利用して、徹底的に「無作為」に破壊して作っていると言います。
この一連の作業は、やはり小西さんが根底に抱えているルールに対しての疑問を代弁しているのではないか?と感じました。でも、ここで肝心なのは、その破壊されたデジタルの数字の並びは、とても美しい結果で画面に定着されていることです。
作家に対して、制作意図を聞くのは野暮なことだと思いつつ、投げかけてみました。
「写真や映像はボケたりブレたり消えたりする要素があって一般的にはそればかり見てしまう傾向がありますが、その隙間や画面の端の方に写り込んだイメージが残っていたりするところが写真にとっては重要な部分だと考えます。そこにはここ数年スナップしてきたある風景が写り込んでいます。そして今回作品を作るにあたって独自のオーダーがありそのオーダーには個人的な作為を極力省いた無作為な方法で作品は構成され編集されています。完成か未完成か本物か偽物かわからない要素も踏まえて見て頂ければと思います。」
独自のオーダーと言う視点が非常に興味深い・・・。
是非、 この機会に是非 会場まで足をお運びください。
記 iTohen 鯵坂兼充
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小西健三
1978年 大阪生まれ 大阪芸術大学 写真学科卒
個展
2001年 「カナタ」展 ギャラリーJy(東京)
2003年 「生きている世界」展 ギャラリーJy(東京)
2009年 「Copy & Paste」展 AManTO Trico Gallery(大阪)
2010年 「Cut & Paste」展 Gallery Kai(大阪)
グループ&イベント展
2002年 「ヤングポートフォリオ」展 清里フォトアートミュージアム(山梨)
2010年 アマントセレクション「Pin Ups」AManTO Cocoro Museum(大阪)
2011年 うずめ企画「Pin Ups In うずめ」 アートスペースうずめ(大阪)
2011年-2014年 産経新聞「都市のフィールドワーク」連載
KENZO KONISHI 1978 Born in OSAKA 1996-2000 Majoring in Photography OSAKA University Of Arts Freelance Photographer Solo Exhibitions 2001 “Fair way” photo exhibition gallery Jy TOKYO 2003 “The Arrive” photo exhibition gallery Jy TOKYO 2009 “Copy & Paste” photo exhibition AManTO Trico Gallery OSAKA 2010 “Cut & Paste” photo exhibition Gallery Kai OSAKA Group Exhibitions 2002 “Young Portfolio” photo exhibition Kiyosato Photo Art Museum YAMANASHI 2010 AManTO Selection“Pin Ups” photo exhibition AManTO Cocoro Museum OSAKA 2011 Uzume Project “Pin Ups” photo exhibition Art Space Uzume OSAKA