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辻元小百合 作品展 「ミルフィ」

iTohenにて第268回目となる今展は、関西を拠点に活動する作家:辻元小百合(つじもと・さゆり)さんをご紹介致します。このiTohenではすっかりお馴染みとなった作家。通算7度目の新作発表となります。


2014年の個展のタイトルは ミルフィ と名付けました。

モチーフは、バラです。

花びらが何層にも重なったものに特にひかれて、

ひかれるがままに、キャンバスにも重ねてみました。

タイトルは、お菓子のミルフィーユから。

記 辻元小百合


春の季節の頃を中心に、ここ最近では毎年のように新作発表をしてくれています。基本的にその時々に、心のあり方に忠実であるように努めるため、この作家が選定するモチーフは限られていません。

しかし近年は植物に対しての興味が募る様子で、「バラ」を中心に創作を進めたようです。 土に根を下ろし、実際に咲く花を写真に収める為に現場に行くスタイルは、辻元さんにとって、創作の一つの作業に入っている要素の一つのようですが、ひょんな事から花屋で求めたり、これまで撮りためてものを見返してみたり、そんな中から描き起こして行く作業が中心になったものが今展の特徴と言えましょう。鑑賞者には、まるでその経緯がわからない程のクオリティーですが、他人にとって些細な事は、自分にとっては大きな事件です。皆さんもそのような経験が多少なりとも身に覚えがあるのではないでしょうか。

今までにない創作のあり方だったようで、想像以上に苦心したと言います。『いつも通り』にならない過程を踏むため、考える事は一杯あったのでしょう。

ですが、創作の中で沈思黙考し、筆を動かしモチーフと格闘する中で、辻元さんはある発見をします。 『必要だったのは、“いつも通り”を変える勇気だったのかも知れません。』

描きたいモチーフを見つける例えとして、辻元さんは『引き出しを開ける』と表現します。ですが前述のように、いつもと勝手が違う作業の中で、例えて言うのであれば何か布のような物を畳んで畳んで、ひたすらに『引き出しにしまっていく』ような印象を持ったと言います。

今現在から、これからと言う『未来』に向けて自分自身の為に出来ることは、日常の些細な事までをひっくるめて、丁寧に折り畳み、積み重ねていくことだけかも知れないとコメントを下さいました。

『いつか引き出しを開けた未来の自分が、過去の自分に感謝できるような日々を少しずつ重ねていけたらと思います。』と辻元さん。

創作を通じて、絵と言う成果物と共に、彼女は大きな発見をまた一つ見出したようです。 絵具と言う物質が、辻元さんの腕を通してキャンバスに定着されたその『成果物』を是非、御自分の目で確かめにいらしてください。 積み重ねられた花弁の間から、おおらかで、しかし激しいささやきを聴き取って頂けたら企画者として嬉しい限りです。

記 iTohen 鯵坂兼充

辻元小百合

2006年 個展「リリ」(iTohen)
2007年 iTohen+SEWING GALLERY 企画公募展 参加
2007年 岩瀬ゆか+辻元小百合+吉實恵 3人展「みつめ」(iTohen)
2008年 個展「メルシ」(iTohen)
2009年 協同企画公募展「おんさ」参加
2009年 個展「とれもろ」(iTohen)
2011年 個展「サクラ」(iTohen)
2012年 個展「ヴェール」(iTohen)
2013年 個展「いろは」(iTohen)
2014年 個展「ミルフィ」(iTohen)
他多数
[受賞歴]
2005年 第5回アジアデザインコンペ 入選
2006年 第5回TIS公募 入選 、第11回リキテックスビエンナーレ入選
ACRYL AWARD 2006入選
2007年 TOKYO ILLUSTRATION2007 入選