2016.12.1 _ 2016.12.18
iTohenにて第334回目となる展覧会は、関東を拠点に活動する加納徳博(かのうとくひろ)さんをご紹介いたします。
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加納さんの展示は、ここiTohenでは2度目の発表となります。とは言え、最初の展示は<eco 知らん保護部隊>と言う名義の2人組のユニットでの発表でした。 それが、2008年の早春。今から8年前のことです。 http://www.skky.info/itohen/gallery/eco.html
関西出身の加納さんは、大学でスペースデザイン(建築や、インテリアデザインに関する)の学科で学びました。しかし、創作以前にその規制の多さに、興味を失ってしまった様子。でも『手を動かして何かを創る』ことに情熱があったようで、独学で絵を描き始めます。 そして、府内の印刷会社に就職。いたって生真面目な加納さんのことだから、仕事も誠実に取り組んだはず。その余暇を使って、作品を作り続けたと言います。多分、猛烈に。
そして、編集者やデザイナーにアポイントを取り、ファイルを片手に関東に出向き、思う限りの営業を続けたと言います。意を決して単身で関東に出て6年目。何もツテもない状態で始めた活動で、今は絵(イラストレーション)の仕事だけで生活を成り立たせています。
そんな人物が、今回は個展という形で臨んでくれました。建物や人、何かの風景を切り取ったものなど、どれもが必要最低限の色と線で表現されています。
『捨てること』の潔い意志と、目を凝らして細部を見つめると、手書きならではの『ヨボヨボの線』が、加納さんの今、置かれた状況をありありと伝えてくれます。 その『本音』が心地良く感じます。
この機会に、ぜひ会場へ足をお運びくださいませ。尚、期間中に壁面に描き続けている絵も見もの。制作風景もご覧いただけたら、作家が創作に対する姿勢を体感して頂けるのではないかと思っています。
iTohen 鯵坂兼充