気取らず、過剰な装飾を出来る限り排除しようとする足立の木を扱った手作りの物達は、どれもが温かい。
人が使ってこそ、生活する空間でこそ意味を持ち始めるものばかりだ。

長尾牧子は一つ一つの布地が手描きによるもの。
カバンと言うよりは“持ち歩く絵” と言った印象が強い。
既成のカバンではあり得ないからこその面白みや意味、また美しさを感じる。
今回の展示では壁面に描かれた大きな植物がとても瑞々しく心地よく彩られている。

向井涼子は先日、新風舎から“辞書めくり”と題した本を出版したばかり。弊廊での展示では手製本に加え、所々に貼り巡らされたかなりの写真が非常に印象的だ。

３名の共通項を考えた時に私は素直に＜体温＞を感じた。
＜適温＞とも言うべきだろうか。

グループだからと徒党を組む思考法ではなく、各々が信念を持って制作に向き合っているように私は感じた。その信念を保つ為の３人のお互いの距離感がとても良い。
＜ナチュラル・ディスタンス＞とでも言えるべき絶妙な関係は、観ているこちら側にも窮屈な感じを与えないのだ。

クールを装う処世術ではなく、あるものをありのままで。

そのことが恥ずかしい事では決してなく、とても素敵な事なのだと教わる展覧会である。

＜記＞　SKKY＿ 鯵坂兼充

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Adasaw　足立顕治