大阪芸術大学に在籍していた当初、山田は自身の“殻”を取り除くことに懸命になっていたという。
「目に見える物、全て」を忠実に再現することで、技術的な面での安心感を保ちたかったのか、
具象画を中心に作品を作り始めたそうだ。
それが時間の経過と共に、彼女なりの消化と実験があったのだろう。
版画というメディアに出合った山田は、加速度をつけて現在のスタイルにたどりついた。
色面の重なりで構成される山田の作品において、特筆すべき点は何といっても色彩だ。
いい小説に出会う時、行間に豊潤な空気の広がりを感じる。
山田の作品にも全てにおいてとはまだ言えないが、しかし時折、その色の重なりの層の中から、
同質のものを感じさせてくれるのだ。
「真昼の終わり」と題した今展は、自身が一日の中で、心落ち着けて物事に取り組める時間の事を指す。
がやがやと躍動的だが慌ただしい時間<真昼>。
それはもしかすると、彼女が過ごした学生時代のリズムを象徴しているのかもしれない。
<学校>という枠が外れ、自分の“立ち位置”を見直さざるを得ない今、 自分が作家として何をすべきかという、途方もないが、野心に満ちた題材にたどりついたようだ。
<記> SKKY/iTohen 鯵坂 兼充
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山田 彩 Aya YAMADA |
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◆1984年
大阪生まれ
◆2007年
大阪芸術大学芸術学部美術学科版画コース卒業
◆2005年
二人展(ホワイトキューブ・大阪)
◆2006年
Osaka University of Arts+California College of Arts Print Exchange (San Francisco・CA)
7carats Diamonds(ホワイトキューブ・大阪)
個展「天体観測」(ホワイトキューブ・大阪)
第31回全国大学版画展(町田市立国際版画美術館・東京)
◆2007年
大阪芸術大学卒業制作展(大阪芸術大学)
関西6大学版画ポートフォリオ展(石田大成社ホール・京都)
PIECES(海岸通ギャラリーCASO・大阪)
個展(いとへん Books Gallery Coffee・大阪) |
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