2016.5.11 _ 2016.5.22
iTohenにて第319回目となる展覧会は、ジャパングラフと言う雑誌を作り続ける方々をご紹介しております。普段は、各々の得意分野で写真を生業として活動されている面々。この団体は森善之(もりよしゆき)さんを核として構成されています。
森善之さんは、2012年に「水のすみか」と題した個展を開催して下さってからの縁です。商業写真もさることながら、自身の作品制作にも長年に渡って続けてこられました。
その後、京都府宇治市の一角にある古民家を改装し、「ナナクモ」と銘打ったギャラリースペースを開店し、現在に至ります。
近年では、畑も始めたり、、、と多忙を極めるはずの人物が、なぜこんなに手間の掛かる雑誌を作り続けているのでしょう。その意味を知りたい気持ちが募り、今展のお披露目となりました。
ジャパングラフは滋賀編から始まり、岩手→愛媛→群馬→島根そして今回の6号:愛知編が刊行されました。日本全国47都道府県を巡ることを目標と掲げています。新刊の表紙が、またなんともインパクトがあります。この写真は、参加作家のお一人である森山智彦さんが担当された田縣神社(小牧市)の豊年祭を取材したもの。五穀豊穣・子孫繁栄・商売繁盛・万物の育成を願う、いわゆるご神体だそうです。
コンビニや普段の書店では、なかなか見ることのない表紙は、スポンサーに左右されることのない自費出版本の強みとも思えます。僕は、森さんから届けられた写真を初めて拝見した時に、素直に勇気があるなぁ、、挑戦してるなぁ、、と感じ入ったものです。
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海に囲まれた島々
北と南からの海流が運んでくれる豊かな海
深い緑の木々につつまれた山々
たくさんの植物たちがあたえてくれる恵みの山
そこから流れだす水は清らかで透きとおり
やがて川となって山の栄養を運んでくれる
その地べたの土の水で僕達は育ち暮らしている
宝物のように豊かで美しい場所
僕達の祖先はこの場所でそれぞれの土地に見合った
いろいろな暮らし方を育み手渡してくれた
季節とともに暮らし
暮らしの中で遊んで学び
土地や自然と結びついた生き方
人とつながり助けあう暮らし
自分の手で食べ物を作る人
自分の手で道具や家を作る人 海と暮らす人
山と暮らす人
川や湖とともに生きる人
土を耕し大地とともに生きる人
未来の暮らし というものを想う時
あらためて日本の各地に息づく地方の暮らしというものを
見つめ直してみたいと強く感じる
これからの日々を暮らしていくうえで
大切な智恵や道標がきっと残されていると信じて
ジャパングラフより抜粋
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各地に出向き、写真を仲介に様々な現象や人に出会うことにより思い至った結果が、この雑誌を生んだのかも知れません。 是非、この機会にご来場くださいませ。
iTohen 鯵坂兼充
Japan graph