2016.6.8 _ 2016.6.19
iTohenにて第321回目となる展覧会は関西を拠点に活動される作家:出口春菜(でぐちはるな)さんをご紹介致します。
出口さんとの出会いは、岡村絵理さん、マメイケダさん、秦直也さんと同様、昨年 当方が企画主催した公募展「PACKAGE2015」に出展して下さった事が経緯となりました。
出口さんもまた、多くの作家がそうであるように物心ついた頃から絵を描くのが好きだったようです。ただ気付いたら好きで、一人でできる遊びでもあったと言います。
何も心を閉ざしていたからではないでしょう。本人に会って話をすればそれは一目瞭然。非常に社交的で聡明な人物です。
今でも続けている理由は、「視覚的な快楽、美しいものへの憧れ、新しい気付きをくれるもの。逃避するためのものだったり。言葉にできないものを発散させていたり。現実と空想のあいまをつなぐみたいな。芸術が生きやすくしてくれてるのかも。遊び、がしっくりくるなのかなって思ってきました。芸術ってなくても人は生きていけるけど、まわりには溢れるほどあってもしなくなればほとんど何もなくなってしまうんじゃないかと思います。」と言う気持ちがあるからと教えて下さいました。
日々創りつづけ、自分のしている仕事に対して大真面目に考えている方だからこそのコメントだと感じました。
元々は、大学時代にはファッションデザインを勉強していました。ところが、同大学で受けた講座で銅版画に魅了されます。理屈ではない何かが、彼女の中に鎮座することになったのでしょうか。 それからと言うもの銅版画の制作に没頭します。
様々な版種(木版や、シルクスクリーン、そして誰もがやったことがあるはずの“いも”版画・・)があるものの、なぜ出口さんにとってこの手法だったのでしょう。
「刷られたもののインクの質感、かなぁと思います。あの、少し盛ったような、どうしてもくすむような、意図しない傷とか線でも面でもあの雰囲気、空気感は銅版画にしかないです。プレス機、インクのチューブ、腐食液、松脂などなど使う道具の雰囲気や、工芸や職人的な作業に近い工程も好きです。いつも版が助けてくれます。」
展覧会で新作を発表し続けていくことはもとより、出口さんは今、イラストレーション(商業美術)の分野にも意欲的なようです。
今展がはずみとなり、一般の方はもちろん、編集の仕事やデザインに従事される方々にもご覧頂けると幸いです。 新旧織り交ぜ多数の作品をご披露する予定です。
是非、この機会にご来場くださいませ。
iTohen 鯵坂兼充
出口春菜 web site