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上村亮太 展 『すきとおった、たべもの』

※上村亮太さんの展覧会は終了致しました。次回の再開は、2024年1月13日(土)〜
恒例の新春企画展を開催致します。ぜひ、ご期待ください。

すきとおった、もの。
すきとおった、たべもの。

ぼくは、まず、まあるいものから描き始めました。

僕は、まあるい感じのものを描くのが苦手なので、僕にとって、まあるいものは、
すきとおったもののうちの、ひとつなのかも知れない、と思ったからです。
テーブルの上の果物や、お椀や、そういったものから描き始めてみました。

それから、自宅の近くの公園や草むらも描いてみました。
草や土の匂いとかも、すきとおったものの、ひとつだと思っていたからです。

僕は、人がたくさん集まる場所は苦手だし、イルミネーションや花火も苦手なのですが、
ある日、夜の街の雑踏を歩いている時、この夜の街を埋め尽くすような大勢の人達の、
それぞれのひとりは、皆、それぞれのお母さんから生まれてきたのだな、となんとなく思って、
それからは、今までとは、全く違った目で、夜の街の群衆なども見るようになりました。

すきとおった、たべものとは、
いのちの存在、というのか、いろいろなものの、本質的な在り方のような気がします。

僕は、いつまでたっても、まあるい感じのものを描くのは苦手だし、
まったく大したことはないのですが、
上手く描こう、ちゃんと描こう、とさえ思わなければ、
絵を描くことほど楽しいものはないように思っているので、
これからも、少しづつ、自分の好きなように描いていければ、と思っています。

「すきとおった、たべもの」という言葉は、宮沢賢治の童話集の序文に使われていた言葉です。
僕が、神戸の、とある古いレストランで食事をしている時、
そのレストランの佇まいから、ふとこの言葉を思い出し、イトヘンと言う場所の存在とだぶって、
この場所での展覧会のタイトルにしようと思いついたものです。
なので、この展覧会も、今回の僕の絵画も、宮沢賢治や、その作品とは、ほとんど関連はありません。

上村亮太


上村亮太さんの存在を知ったのは、いつだったか・・・と言うのも、40年近いキャリアを持つ、言わばベテランの美術作家で、どこかしこの展示空間で拝見していたのです。
まとめて作品を拝見して、お名前と作品が一致したのは、神戸の老舗画廊であるギャラリー島田さんでの発表でした。その作品群を拝見した時、まさに意味が分からなくて、しかし、その意味の分からなさは、観るものを突き放したものではなく、画面の奥底にぼんやりと、しかもひっそりと焚かれている炎のように感じもしました。それは、温かい灯りのようでもありました。

話はそれますが、イトヘンと言う場所を開いて、丸20年になります。当方にとってその記念すべき時に、上村さんのような実力をお持ちの方に展示をしていただくことは、大変な光栄だと感じております。ぜひ、一人でも多くの方に、作品をご覧頂く機会になれば嬉しいです。

会期(開店日)=期間中の土・日・月曜日のみ 11:00〜18:00まで<※最終日のみ〜17時まで>
会場=大阪市北区本庄西2-14-18 1階
https://twitter.com/skky_itohen
https://www.facebook.com/itohenskky/
https://www.instagram.com/ito_hen2019/

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