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マメイケダ 展 『大味 小味 黄身 白身』

マメイケダさんの企画展【大味 小味 黄身 白身】は終了致しました。大変多くの方にご来場頂き、感謝しております。ありがとうございました。

⦿黄身があるから白身がうまいと思うのだ。逆もまた然り。卵の話です。昨年、初めて絵本を出しました。私が出したのではなく、東京の出版社、「WAVE出版」さんが出してくださいました。今回はその原画展をします。原画だけだと、少しさみしいので、新しく描いた絵も展示します。主に食べたごはんの絵になると思います。
(記)マメイケダ 拝

マメイケダさんの作品展です。ここiTohenでスタッフとしても勤務してくれている女性の一人。画家・イラストレーターとして活動を始め、まだ日が浅いのにも関わらず頻度の高い展覧会での発表や、各公募展などへの出展。そして活動を広く知って頂くためのカレンダーの発行や作品集の刊行を重ね続け、新聞の定期掲載の挿絵、小説の装丁画の提供などに展開され、認知度が確実に上がってきたことを感じるようになりました。そして全国出版となった絵本『おなかがへった』(WAVE出版)は、フリーランスで京都に拠点を置く編集者:野分編集室の筒井大介さんが彼女の作品を認め、出版の後押しをして下さいました。その原画を引っさげて各地で展示も行ってきたマメイケダさん。今回はその一つの区切りとして、ここiTohenでの展示となります。彼女のコメントにもあるように、原画のみならず新作を用意してのご披露。印刷物となった絵本と原画を見比べてみたり、彼女が食べた『ごはんの絵』を間近で観て頂けたら、きっと目に心に栄養が行き渡るはず。そんな機会になって頂けたら企画したものとしては大変嬉しい出来事です。

みなさんのお持ちの携帯の中に『ごはん』の写真があったりしませんか?甘いものが好きな方はその傾向のものが。お酒が好きな方は、『アテ』などが頻繁に登場していることでしょう。中には糖質制限をされている方が、自分の体調管理にと撮っていたりも想像してしまいます。誰でも記録がサッと、カシャッと電子音とともに簡単にできるようになった今の時代。マメさんは、実際に自分で食べたものを描くことを方針とし、描き続けています。風景も然り。ごはんは自分か、誰かが作ってくれたもの。その行為に対して、感謝の気持ちも加わっている様子です。風景は、特別でもなんでもなく、誰もが同じような似たような景色を観ているはず。絵を描くという作業は、案外と時間や手間暇の掛かる仕事です。パッと瞬時に撮れてしまうものは、確かに便利ですが細部を見落としがちです。私自身、そのような経験をしたことが多々あるので、多くの方もそのように思われるのではないでしょうか。いわば、『ざっくり』している。もう一つ正直に言うと、とても『雑』であると思えるのです。

しかし、マメさんのしている事は、とてもとても丁寧な行為です。彼女自身、絵を生業にしたいとがむしゃらに始めたこの道は、今や描きながら発見する、気付く、気付かされることが多くあることを知ったのではないでしょうか。そんな事を感じさせる事が、たまの依頼を受けてエッセイのようなものを書く彼女の文章から伺い知れます。

彼女は、よくモノを見ている。分析して物事のありようを決めつけるのではなく、ただただジッと目を凝らし、観察している。それをできる限りの正直さで絵に落とし込んでいる。実に簡単なようで、案外とそれは難しいものです。それは『欲』というものが色々なシーンで登場しては行く手を阻むから。

働きながら接客をする、、と一風変わった作品展ですが、ぜひ本人と話をしてみてください。人柄は作品と直結するのだと言うことが、よくお分かりになると思います。

(記)鯵坂兼充