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久田奈津紀 展 『見したらへーん』

*1月26日(日)は14:00〜トークイベントを開催します。ご予約不要です。是非お気軽にご参加ください。

◉語り手:石崎史子
◉ゲスト:森善之(写真家/ナナクモ主宰)
参加費1,000円(1ドリンクをお付けして)

*このイベントは終了いたしました。

なっちゃんがアトリエひこ(*)にやってきたのは高校一年生のときでした。妹のあず紗ちゃんも一緒でした。その頃すでに声を出さなくなっており、固まってじっとしている場面もありましたが、次第に熱のこもった○やぐるぐるが現れました。大好きなお父さんだそうです。かぶりつくようにイーゼルに向かい、その時々の情動が線や色の重なりとなって刻々と紙の上に流れ出ました。四角いスパイラルは慎重に外から内に向けて紙の形に合わせて描き始まり、中心まで行くと向きが変わって今度は内から外に竜巻の様にあふれ出ました。
 タイトルの0-40(ラブフォーティと読んでください)はお兄さんの亮平さんがつけてくれました。「みんなに愛されて育った四十年、マッチポイントでもあります。あと一ポイントを勝ち取るのか、ここから大逆転ととるかは見る人次第で…」という意がこめられています。アトリエの人たちの絵の変遷を見ていますと、四十代以降は、共に育った兄弟の巣立ち、親の老いという家庭環境の変化のためでしょうか、表出されるものがより純化され、強くなっていくようです。そのくっきりしていく様に日々圧倒されています。
 今、なっちゃんはどんどん解き放たれています。アトリエだけでなく、作業所や家でも毎日描いていて、描きながら腕の動きに合わせて自然と声が出ています。不惑を迎えたなっちゃんから湧き出てくるものをしっかり受けとめていきたいです。
 
アトリエひこ 石﨑史子

*アトリエひこ
大阪市平野区にある、知的障害のある人たちが思い思いの創作活動をしているプライベートアトリエ。1994年にダウン症と重い心臓疾患のある大江正彦の自宅から始まった。

iTohenで開催中の久田奈津紀(ひさだ・なつき)さんのことについて、長年サポートしてこられた石崎さんのコメントです。

この機会に、ぜひ原画をご覧になってください!

記載=アジサカ