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山本繁樹 作品展 / 星密 seimitsu

iTohenにて第323回目となる展覧会は関西を拠点に活動される山本繁樹(やまもとしげき)さんをご紹介致します。今展『星密_seimitsu_』は自身初の個展開催となりました。


山本さんの表現の核となるものは“本”。何も大手の出版社から依頼され・・・と言うわけではありませんが、自ら物語を紡ぎ、絵と文章に表し製本する。その一貫した作業を自ら行ってきました。

そもそも、絵を描くことと読書を愛した少年時代、多くの方がそうであったように漫画に影響を受け、絵本に興味が傾いたと語り聞かせてくれました。そこで『絵本を描くなら自分で本の形にまでするしかない』と考えたそうです。この点が面白い。

インターネットの影すら見えない1980年代。当時 中学三年生だった山本さん某雑誌に掲載されていた『絵本の作り方』を教科書さながら見よう見真似で製本するところまでこぎつけたそうです。

ギリシャ神話のオルフェウスとエウリディケを題材に絵を描き、それを本にしました。

その創作意欲は止むことがなく大学時代に再燃。ただ好きだから作り、それを身近な人に観せたり、プレゼントしたりして欲望を満たしていたのかも知れません。

社会人になり企業に入社してから始めたグラフィックデザインを、現在も生きていくうえでの糧として選択されている山本さん。

しかし再燃した炎は絶やすことなく世話をし続けてきた様子です。そういった人物が、展覧会を開き、他者に作品を披露する機会を持とうと言うことは、至極当然の成り行きでしょう。 『好きこそものの上手なれ』と簡単には片付けることの出来ない何かが山本さんの中に、確かに在るようです。

その点、僕個人としては大変羨ましくも思いました。はっきりとこれが好きだ!と豪語出来るものを果たして僕は持っているか・・・。これを読んで下さっている方は、どうでしょう。お持ちですか?

46歳にして初個展となった山本さんに聞いてみました。『なぜ、個展を開くんですか?』と。

何年も前からやってみたいとは思っていたそうですが『あれこれ考えすぎてしまって結局、やらない。』となんとも自己分析の出来た答えを頂きました。『歳も歳だし、少しは思い切ったこともやらないと。』と思い、実行に移したようです。

平面の作品を中心に、前述のように自家製の<本>が展示されます。この機会にぜひご来場頂き、山本さんがたゆまず創り上げてきた、小さくとも広大な世界観をご自分の眼でご覧頂けると幸いです。

iTohen 鯵坂兼充