2016.5.25 _ 2016.6.5
iTohenにて第320回目となる展覧会は関西を拠点に活動される作家:秦直也(はたなおや)さんをご紹介致します。秦さんとの出会いは、岡村絵理さん、マメイケダさんと同様、昨年 当方が企画主催した公募展「PACKAGE2015」に出展して下さった事が経緯となりました。
モノクロームの画面に、緻密な筆致が特徴の秦さんの作品は、画歴を開始した頃から現在に至るまで、シャープペンシル0.5HBを使い続けているとのことです。
大学では建築を履修。デザインや美術、アートなど多くの分野に臆面なく触れることが出来た環境だったようで、在学中は色々なことにチャレンジする機会を得たと言います。特に気のおけない仲間達と映像制作にのめり込み、撮っては発表、コンペ応募を繰り返す日々を送ってたと言います。
そんな中、時間の経過とともに映像制作も一段落終えることになりましたが、手を動かして何か作りたいという欲求は消えず、思い立った時に目の前にあったのは、スケッチブックとシャープペンシルであったと語り聞かせてくれました。
最初に描いたのが「絨毯 じゅうたん」だったそう。その細かく描く手法を応用できないかと思い、鱗状のような毛並の動物の描き方を思い付いたそうです。
“じゅうたん”が最初のモチーフになるとは・・・その視点が何とも個性的でユニークです。僕などは絵のモチーフになろうとは思いつきもしません。
当時は、映像制作時にコンペに応募するという形をとっていた事もあり、イラストレーションの応募先を探しイラストレーションに特化した専門誌に応募して、大橋歩さんの審査で入選したのがきっかけになりました。
「それが3枚目ぐらいに描いた作品だったので、そういう意味では勘違いが絵に進む始まりだったかもしれません。」と言うものの、謙遜も混じっているのでしょうか、、。いやはや秦さんの描写力は、勘違いの枠を軽々と突破しています。
秦さんの創作スタイルは次のようです。「テーマや構図、タイトルが先に決まっている場合もありますが、大抵は決めずに始めます。段々と物語が生まれてくる時間を大切にしています。今回の人物画も描きたい顔を描いてから考えた絵が多くあります。そういった意味では、?描いている途中に物語が生まれ、タイトルを考えているときが一番幸せな時間であると言えます。?」
なんと、秦さんにとっての初個展になる今展。その事自体が信じられないほどのクオリティーですが、まずは原画を見ていただかないことには始まりません。
是非、この機会に会場まで足をお運び下さいませ。
iTohen 鯵坂兼充
秦 直也 website
http://naoyahata.com/