2015.12.16 _ 2015.12.27
iTohenにて第310回目となる今展では、関東を拠点に活動する詩人、三角みづ紀(みすみみづき)さんを中心とした計、14名の作家や音楽家をご紹介致します。
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とても個人的な事で恐縮ですが、僕は「詩」というものに対して恐怖に似た気持ちを抱いてこれまできました。文章として理解しやすいものであったり、また子供の書いた「詩」を何かの雑誌で拝見して微笑んでみたり、心持ちが「ふわっ」としたりすることはあっても、言葉がつらなり、難解な組み合わせで提示された場合の「詩」に出くわした時、混乱する気持ちが、理解したいという親和的な心を追い抜いて先を阻んでしまう。だから「視覚」を優先的に感受するんだろうなぁ、、とやや浅めの自己分析で終わっていました。
今展にも出展してくださっている一人、美術作家の植田志保さんから、三角みづ紀さんと言う詩人と出会い仕事をしましたと連絡をもらった時に素直に嬉しかったです。着実に世間と、他者と関係性を築いてるなぁ、とひとしきり感心もしました。と、同時に「詩人」として生きている人物に会ってみたいと思うようになりました。
無理を承知で企画展の話を持ちかけると、予想外に柔軟な対応を示す三角さん。その時に気づいたのですが、僕の中に「詩人=難しい人」と決め込んでいたことに驚いた、と言うのが本音だったのです。
俄然、その「ひととなり」が気になり、「詩」に対して自分が思うことを正直に打ち開けてみました。「その恐怖心を私が払拭してみせます!」と三角さん。これを機に「リハビリ」に励むことにしたのです。なぜなら、感じる以前に拒否したままでは「勿体無い」と思えたから。理解は出来なくても受け容れる態勢はいつでも持っておきたいと思えたからです。
三角さんは、1981年に生まれました。偶然にも僕と同郷の鹿児島で思春期まで過ごしたそうです。大学は関東へ。しかし在学時に病気療養を強いられます。親類を頼り、奄美大島における療養中に、12歳から始めていた詩作を投稿するようになりました。言わば公という「外」に向けて、門をノックし続けたと言うことでしょう。2年にわたる投稿の末、2004年に現代詩手帖にて第42回現代詩手帖賞を受賞。同年、処女詩集「オウバアキル」を刊行、続いて第10回中原中也賞を受賞しました。本人の弁を借りると「救われた」気持ちになったと言います。華々しい履歴と同時に過酷な状況に追い込まれ、それを「詩」と言う表現に転換し、辛抱強く向き合った姿勢に僕は尊敬の念を隠せずにいられません。
この強さの根幹を知りたい。その根を支える「詩」の事を知りたい。そのような思いもあり今展を企画致しました。
三角みづ紀さんが七篇の詩を7人の作家に投げ、それに各自で対峙した作品が並びます。そしてまたその作品を元に三角さんが7人の音楽家に詩を託しました。創造のリレーのようなものになりそうです。
また、期間中にお披露目できるパフォーマンスも予定しております。ぜひ、この機会に会場まで足をお運び下さいませ。
iTohen 鯵坂兼充
///視覚表現///
塩川いづみ、いぬ、sakana、植田志保、ookamigocco ミロコマチコ、川瀬知代
///聴覚表現///
YTAMO、小島ケイタニーラブ、森ゆに、木太聡 織原良次、坂東美佳、青木隼人
Mizuki Misumi and Circulating Letters This is a collaborative project firstly shown here at iTohen. There will be seven artists’ creations each inspired by seven poems written and given to the artists by a poet, Mizuki Misumi. Misumi wrote another seven poems based on those seven creations, and handed over each of them to seven different musicians. We will see relays of creations. Don’t miss it.
///Visual Artists ///
Izumi Shiokawa
Inu_Keita Okuno
sakana
Shiho Ueda
ookamigocco
mirocomachiko
Tomoyo Kawase
///Sound Artists///
YTAMO
Kojima Keitaney-Love
Yuni Mori
Akitra Kita
Ryoji Orihara
Mica Bando
Hayato Aoki