2014.12.17 _ 2014.12.21
iTohenにて第284回目となる今展では、関西を拠点に活動を続ける画家:原田 恵(はらだ・めぐみ)さんと森 綾花(もり・あやか)さんををご紹介致します。
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お二人の活動は、毎夏に開催している協同企画展<おんさ>に出品して下さったことが契機となり知る事になりました。
原田さんは“食べ物”をモチーフに木版を使用して絵を描きます。野菜や食品、調理加工されたものなど被写体となるものはたくさんありますが、興味の対象は一貫して“食べ物”にあるようです。食べ物が持つそれぞれの佇まいや質感が愛着を持ってクローズアップされています。木版画は決して精密な描写には向いていませんし、あえて具体的にも描かれていないのですが、見ているコチラがなんだか「美味しそう!」と思えてしまうのは原田さんの表現力あってこそなのだと思います。また、クローズアップされた食べ物は本来の様相を超えて、どこかの地形や風景を眺めている様にも見えます。その仕掛けが観賞者を楽しくさせてくれます。
「ふくらむ空気」を描きたいと話してくれた真意はそこにあるのかも知れません。
一方、森さんは「暗闇の中の小さな蝋燭の灯りとか、静かで繊細なものに惹かれる」と言います。元々は銅版画の技法で制作していましたが、今は木炭を使用して物語を感じさせる寓意な風景を描いています。
何を大切に表現しているのか?という問いに対し「自分が描きたいものの”根本”を忘れないようにすること」という回答が印象に残りました。森さんは自分自身の心の奥底に人知れず流れている物語の欠片を表現しているのかも知れません。 原田さんとくらべると、対照的と言っていいほど空気感が違いますが、暗闇や静けさのなかに描かれる“灯り”や木炭特有の“柔らかさ”からは彼女自身の温かみを感じますし、決して冷たいという印象はありません。むしろ平穏な感情を観賞者に与えてくれているのではないでしょうか。
今年も残すところあと僅かとなりました。師走の忙しない時期ではありますが、
でもこんな時こそ、絵を観賞する時間(つまりご自身と向き合う時間)が必要なのだと思います。
「12月のゆうげ」
是非、この機会にご来場ください。
iTohen 角谷 慶
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原田 恵 Megumi Harada
1988年 生まれ
2011 京都精華大学 芸術学部 メディア造形学科 版画コース 卒業
Solo Exhibition
2014年4月「新しい棲家」SEWING GALLERY・大阪
2011年10月「壁からマカロニ」gallery yolcha・大阪
Other exhibition
2014年10月「オソボクのオープアトリエ」osoboku+星霜珈琲店・大阪
2012年8月 「第5回 協同企画展 おんさ」galerie 6c・兵庫
2012年4月「Grassland」藤井大丸(京都)
イラストレーター・ひやまちさととのユニット「osoboku」としても活動
大阪市北区天満に共同アトリエを構える
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森 綾花 Ayaka Mori
1989 大阪府出身 2013 京都精華大学 芸術学部 メディア造形学科 版画コース 卒業 【Works】 2013 2012 【Exhibition】 Other exhibition |