2014.6.11 _ 2014.6.22
iTohenにて第271回目となる今展は、関西を拠点に活動する画家 :安藤 智(あんどう・とも)さんをご紹介致します。
*
mula mulaする、とは これまた風変わりなタイトルです。
これは、安藤さんの作品とは直接 関係ありません。それは広報する上で我々が勝手に名付けたからです。
全く無意味なのか?と問われるとそうでもなく、安藤さんが展示の中軸に据えているドローイングを拝見した時に、絵具が画面上を上滑りするかのごとく「ムラムラ」としていたのです。その作品の現状を素直に表現したという意味が込められています。
その「ムラムラ」が言葉に言い難い心地の良い「ムラ」でした。
今、安藤さんの中で特に大事にしたい_身体的/精神的にフィットしたものと言う意味で_ドローイングと、言わば油絵の具を使ってキャンバスに描きとめる方法の間に、少しだけ違和感を感じ始めている様子です。そのことについて、本人にコメントをもらいました。
////////////////////////////////////////
私はドローイングを描く時、ひたすら目の前の動物を見ることに集中しています。
目線でなぞるような感じだと思います。
「今なんかおもしろい!描いてみよう!」(この時のテンションはとても高いものから、そうでもないもの、かなり低いものまで様々です)と思って見ている目の前の様子を、なるべくそのままスケッチブックに描きとめようとしています。
必死、もしくは夢中で描きとめた結果、そこには冷静なバランス感覚(図鑑で見るような、全体的に整った構図やかたち)を失った、私にとっての象徴的なかたちや、個人的に見ていたシルエットが描き出されていると思います。
ドローイングで気づき、見つけたものを大切にしたいという部分が以前より強くなり、今までの方法だけでは違和感を感じるようになってきたのだと思います。
////////////////////////////////////////
なるほど、何とも自分の中の「もう一人の自分」に、きちんと対峙して真意を探ろうとする正直な姿勢が感じられ、安藤さんの創作が、より近くに感じられます。
言わば今までの、展示をして「決まってしまう」ものだけでは無く、無計画をあえて計画として取り入れ、思うがままに出てくる形を素直に「抜き取る」作業にシフトし始めた様子です。
展示してみるまで分からないと本人さえも不安な様子ですが、そこも楽しみの一つで、さてどのような形で、現時点では決断できるのかを、安藤さん本人が知りたいのかも知れません。
多分、彼女にとっては何度目かの転換点の一つになる発表になるのでしょう。そんな現場を垣間見て欲しい、そんな心境です。 是非、この機会に会場に足をお運びください。多くの目撃者に出会えることを我々も楽しみにしております。
記 iTohen 鯵坂兼充
////////////////////////////////////////
安藤 智
1979年 大阪府生まれ
2001年 嵯峨美術短期大学美術学科絵画Ⅲコース卒業
2003年 京都嵯峨芸術大学短期大学部専攻科混合表現コース修了
2004年 京都嵯峨芸術大学附属芸術文化研究所研究生修了
個展
2004年 Oギャラリーeyes/大阪
2005年 Oギャラリーeyes/大阪
カフェsangmi/大阪
OギャラリーUP・S/東京
2006年 Oギャラリーeyes/大阪
2007年 Oギャラリーeyes/大阪
2008年 オソブランコ/大阪
PUNCTUM/東京
2009年 neutron kyoto/京都
2011年 Vendange/大阪
2013年 「安藤智のドローイング展」ミミヤマミシン/大阪 他 グループ展参加多数