2014.4.2 _ 2014.4.13
iTohenにて第267回目となる今展は、4年振り2度目の新作発表となる田中紗樹(たなか・さき)の仕事をご紹介しております。
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ここiTohenで「air rhythm」と題した展示を発表した後、この精力的な人物はやはり国内のみに留まらず海外でも発表を重ねてきました。
田中さんのスタイルで特記すべきは、なんといってもその「ライブ」感にあります。個展を開催すれば、基本的にはその場所に身を置き、新作もその場で増やして行きます。時には馴染みの紙に、時には壁に。
それは、過去にロンドンで開催した<TOKYO BIKE>とのコラボレーションでもそうでした。自転車を買い求めるお客さんの中で、実際に自転車にペイントして行く。その場で感じた空気を敏感に察知して落とし込んで行くような作業でしょうか。
またホスピタルアートを活動の主軸に据えている、関西を活動基盤にしたNPO法人アーツプロジェクトの依頼で行った兵庫県内にある精神科に特化した某病院で壁画制作をした際も、院内の先生方とコミュニケーションを積極的にとりながら、その言葉や想いを形に反映させるように制作に取り組みました。
幸いにもその現場に居合わせる事が叶いましたが、この作家の創作の「核」となるものを見せてもらった気がしています。
そして今展。今も現場で作品を作り続けています。水平、垂直に線を描いては立ち止まり、そしてたちまちに色彩を帯びた面が生まれ、物語を編むように作品が出来上がって行きます。かのルーチョ・フォンタナを引き合いに出せば、少々大げさですが、空間を切り裂く為にキャンバスとナイフを用いた作家とは実に対照的で、田中さんのしている仕事は、切り裂かれた、もしくはほころび始めた空間の切れ目を丹念に、そしてある激しさを持って繕い直しているようにも感じています。
是非、この機会に実際にご自分の目で確認しにいらして下さい。できれば、作家に話かけてみてください。そういった「生=ライブ」のかけがえの無さを感じてもらえるのも一興かと思っております。
田中紗樹 たなか さき
1984 2006 個展 2009 2007 グループ展 2007 2006 受賞 |
アメリカ サンフランシスコ生まれ 女子美術大学 絵画専攻 卒業 「saki tanaka」tokyobike/イギリス ロンドン
第3回ビジュアルアート大賞 最優秀賞 |
アトリエでの制作活動の他、あらゆる土地に興味をもつ。「日常を移動させる」ことによって各地に絵を残していく。 その土地のカラー、リズム、温度を感じ 創作を続けている。即興的な面白さ、遊び、communication