2013.4.17 _ 2013.4.21
iTohenにて第243回目となる今展では、関西を拠点に活動を続ける辻元小百合氏をご紹介致します。弊廊では5度目の企画展となります。そして、この展覧会は大阪に新しく誕生したondo galleryへ、さらに新作を加え巡回される予定となっております。 また展示に合わせてプロダクトレーベルondoからは、辻元さんの作品を用いてスカーフに展開されました。こちらはondo galleryでの開催期間中に販売されます。
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個展のタイトルは、「 いろは 」です。
突然、ボタンの花が描きたくなって、しばらくボタンばかり描いていました。
満足するまで描いたら、今度は、「サクラが描きたい!」がやって来て、
気がつけば部屋の中が、ピンク色の花で満開です。
思えば、昨年の展示「ヴェール」では、どちらかと言うと 落ち着いた色合いのものが多かったので、 その反動が来たのかもしれません。
モチーフの選び方は、基本的に自分の「無意識」に任せているので、 変化や流れを振り返ってみると、面白いなぁ…とよくひとごとのように 笑ってしまう時があります。
前回の展示では、夢かうつつか、というテーマでしたが 今回ははっきりと、「こちら側」に立って眺めている花々になった気がします。
タイトルは、何か、こう…小さな子どもの遊びの「けんけんぱ」みたいな、 トン、トン、トン、とはずみをつけて三歩進む感じの言葉を探していて、 三文字で、「和」を感じるようなものがいいなと悩んだ末、これに行き着きました。 いつでも、自分のマイペースはゆっくりと、一歩ずつでありたいと思っています。
冬から春へ。色々な花が咲きながら、少しずつ暖かくなっていくように、 しっかりと、眩しく暖かな方向へ、一歩ずつ歩いて行けたら、と思います。
<記> 辻元小百合
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・・・と、作家本人の言葉からもあるように、2013年に発表される新作を拝見すると、たしかにいつもとは「何か」が違います。
彼女の作品を一度でもご覧下さったことがある方はお解り頂けると思いますが、その作品群は並々ならぬ技術があって支えられています。
写真と見まがうばかりに描き起こされた花や風景はしかし、作品と自分の目の距離が近づけば近づくほど、絵の具の質感やタッチを感じさせてくれます。
つまり、モチーフが変容し、モノとしてそこにある現実を知らしめます。更に一歩近寄り「間合い」をつめていくと、それはもはや抽象画の領域に飛び込みます。色と色の混沌なる世界が見えてくると言っても良いかも知れません。
僕の主観に過ぎませんが昨年の紹介に「どこか狂気じみた」と書きましたが、今回は打って変わって、花がまさに花開くように、太陽に向かって生きることを謳歌するかのごとく、強く、同時に「したたか」とさえ言えるエネルギーを感じさせてくれます。
歩んでいた道のりが、明るいところか暗闇へ導くかのようなこれまでの作品とはまったく逆の方向を指し示すかのようです。新作を拝見し、心の奥底に「井戸」に似た構造があるとすれば、一条のまばゆい陽光が差し込んできたような気持ちを与えてくれました。
そう、生きていくことはこわくない。感じることは悪いことではない。そんな勇気をもらった感触です。
是非、この機会にご来場頂き、ご自分の目で確かめにいらしてください。
<記> iTohen 鯵坂 兼充
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辻元小百合 Sayuri Tsujimoto
2006年 個展「リリ」(iTohen) 2007年 iTohen+SEWING GALLERY 企画公募展 参加 2007年 岩瀬ゆか+辻元小百合+吉實恵 3人展「みつめ」(iTohen) 2008年 個展「メルシ」(iTohen) 2009年 協同企画公募展「おんさ」参加 2009年 個展「とれもろ」(iTohen) 2011年 個展「サクラ」(iTohen) 2012年 個展「ヴェール」(iTohen) 2013年 個展「いろは」(iTohen) →巡回企画展を4月30日(火)~5月7日(火)にondo galleryにて開催予定 他多数 |
[受賞歴] 2005年 第5回アジアデザインコンペ 入選 2006年 第5回TIS公募 入選 、第11回リキテックスビエンナーレ入選 ACRYL AWARD 2006入選 2007年 TOKYO ILLUSTRATION2007 入選 |