2012.4.4 _ 2012.4.15
そこらへんに
転がっているものに 気付きたいし
あたりまえの中にある 違和感に
近付きたいと思っています。
<記> 松本マニコ
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iTohenにて第217回目となる今展では、関西を拠点に活動を続ける松本マニコ氏をご紹介致します。弊廊では初めての発表になります。
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毛むくじゃらのぬいぐるみのような、なんと言い換えて良いのでしょうか、実に不思議な静物が登場します。表現方法で言えば[立体]作品ですが、大阪芸術大学に在籍した学生時代は意外にも抽象画を専攻するゼミで学んだと言います。言わば、今の表現は不思議とは言え、とても具体的です。対局に位置するものと言えるでしょう。卒業後に、彼女の中で様々な変遷があったのが見て取れるようです。
最近は暇を見つけてはよく「山」に行くと語る松本。その現場に立ち、自然のもつ壮大さに打ちひしがれるものがあったと言います。家々の軒先に置かれた、種類も大きさもバラバラの植栽にさえも最近では目に止まる機会が増えたとも言います。そこに人々が「自然」を求めてるのではないか?枯渇に似た欲求さえあるのではないか?と感じ入ることもあるそうです。
「都会」と言われる所は、徹底して人の手が加えられています。僕もそういった場所で日々の生活を送る者の一人ですが、利便性だけを追求したあまり、抜け落ちてしまった何かとても重要な事があるような気がしてなりません。言葉に落としこめられないからこそ、松本なりに今の表現に行き着き、発表して鑑賞者の反応を知りたいと思うのも、また当然の事だと感じています。
今回は、意識して「箱庭」をテーマにしました。小さいながらも区切られた「箱」の中で松本は、どの部分をコントロール出来て、またどの部分がコントロールできないのかを楽しみつつ苦しんで、抜け落ちた「事」の重要性に言及しているのかも知れません。
<記> iTohen 鯵坂 兼充
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松本 マニコ Manico MATSUMOTO
1981年 大阪生まれ 2003年 アリガト展@空き家 その他 |