iTohenにて第195回目となる展覧会では、作家：尾柳佳枝（おやなぎかえ）氏をご紹介致します。

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尾柳さんの作品を初めて拝見したのは、大阪市北区中津で活動するPANTALOONのオルタナティブスペースででした。
自然をテーマの中心と据えているのか、山のような木のような目に明るいグリーンが画面にフワフワと浮かぶように配置されています。相反するように道なのか、生き物を極端に抽象化したものなのか判別のつきにくい発色の良いピンクやらオレンジやらも、またフワフワと漂っているようです。

自身は生活を立てるためにエディトリアル中心のグラフィックデザイナーの補助主にレイアウトとか修正等のDTPオペレーターをしているとのこと。なるほど、描かれたものは、全て余白が程良く計算されていて心地が良い。作品に、とても健全な形でデザインの仕事が反映されてるようで、私は素直に好感を抱きました。

それから関西のみならず関東でも尾柳の作品を拝見する機会があった。そして＜星星峡＞等の装丁を始め、イラストレーションの頻度も多く見受けられるようになった。

近頃では、小川洋子さんと河合隼雄さんの対談集である『生きるとは、自分の物語をつくること』の表紙を彩ったことも何やら自分のことのように嬉しく感じました。

作品は知っていても、よく考えると、実に尾柳さんの事を知らないなぁ、、と感じ簡単なインタビューを行いました。以下はその記録によるものです。

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質問1　そもそも本格的に制作に突入したキッカケは？

デザイン科の卒業制作の素材づくりのつもりで絵をかいたときに、 追い詰められたら、思っていたよりすごいおもしろいものができたから。

それで続けていこうともう一年研究生で大学にいってみたけど、アホやったからあんまり学校には行かず、なんもせず、 仕事を始めてから、とぎれそうになったらぽろっと発表のお誘いをいただくっていう ふしぎないろんなかたとのご縁で制作を続けられていると思います。

質問2　一見すると、＜木＞や＜山＞やなど自然がテーマに見受けられます。それは？

抽象的な図形とか、なんでもないかたちや線でできてる絵をかこうとしてるんですが、 とっかかりは鳥瞰図や地図や景色をまねしてかいてるから。

あと緑とか木とか山はいちばん忙しくて、しんどかった時期に見ると すごく好き、というか、あこがれるような気持ちで見ていたのも関係あるのかなと思いました。

質問3　商業美術（イラストレーション）の仕事も積極的に取り入れてます。日本の作家では比較的珍しい行動だと思いますが その理由は？

もともと印刷物も本も好きで、 いいもんがつくりたい、いい仕事がしたい、という気持ちがいちばん最近はおおきいです。

イラストレーションは本に使われたり、いろんな人に届きやすいからすごく素敵と考えてます。

現代美術も商業美術（デザインとかイラストレーションのことと捉えてるけどあってます？）も両方好きで、 いいものをつくるのに自分ができることがあるんやったらどっちでもよいとおもっています

質問4　今展はどのような内容を考えている？

たのしくてぬるくて　ちょっとへんでなんかおかしくておもろい場所、がみたいです。そんな場所の感じの絵と映像を展示したい。

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本人の文章も、まるで絵と同じくフワフワしていますが、しっかりと骨筋張った＜核＞があるように私は思います。
＜ただよっている＞と題したiTohenでは初となる展覧会。
移動、浮く、と書いたメモを片手に打ち合わせに登場した尾柳の目には力が宿っていました。

さて、どのような発表になるのか、私も一鑑賞者として心待ちにしたいと思います。

＜記＞　SKKY | iTohen　鯵坂兼充

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尾柳佳枝     Kae OYANAGI

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