2010.11.24 _ 2010.12.5
iTohenにて第182回目となる展覧会では、四国:香川県を拠点に活動する森元愛子(もりもとあいこ)氏をご紹介致します。是非、期間中に足をお運びください。
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「ニコパチ」と題した88個の星座をイメージした作品群が、森元の表現の中核をなします。
絵を描く際、彼女の場合必ずと言って良いほど「本」を意識していると言います。
あつらえの大小に関わらず、表紙があり、いくつかのページで構成され、そこに必要と思われる絵と言葉を置いていく。こんな地道で根気の必要な作業が、彼女のスタイルのようですし、また自分に対して納得の行き届く表現方法のようです。
展示された、そこかしこに点在する小さな小さな絵本は、その作品をまとめたもの(編集したもの)になります。
てんでバラバラに散らばるその本たちは、あたかも天空に瞬く星々と同じく、見る人の心の動きによって物語を持ち、線として繋がり、 一つの星座を作り上げているのでしょう。 そこに彼女の本質が見え隠れします。
香川県でグラフィックデザインを生業としながらも個人の活動を続けることは、そう簡単なことではありません。 技術的な面だけを観ると所々に稚拙さこそのぞけど、その制作に対するひたむきな姿勢を想像した時、私たち鑑賞者の心の中に、てんでバラバラだったモノが線を繋げ、新たな“星座”を創りだしてくれるのではないでしょうか。
記_SKKY/iTohen 鰺坂兼充