2010.8.18 _ 2010.8.29
iTohenにて第174回目となる展覧会では、関西を拠点に活動する作家、久保友作氏(平面)と山田コウ氏(写真)の作品をご紹介致します。
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久保氏の作品は、かれこれ10年ほど前だろうか。コンテンツ・レーベル・カフェ(現:ミリバール)で拝見したのが最初だ。大きなコラージュを施した作品だったはずだ。
なぜだか、気になり観に出かけたのだ。それから彼の作品に触れる機会が遠ざかっていたが、突如としてまた目に触れる機会を得た。
その時に、10年前に観た作品の印象とはガラリと違うことに素直に驚いた。 同時に展示する山田氏の言葉を借りると、たしかに久保の作品は「男前」な印象を持つ。黒い画面にしたためられた人物や(時には自画像も含むのか)、建築物と思わしきもの。強い雨風にさらされた跡に残る抽象的な風景のようなもの。どれもが作家の筆致を強く強く感じさせる。その点で非常に男性的と見て取れるかも知れない。
一方、写真の山田氏は相反するように「静的」だ。写真なのに、どれも正確に描き表した静物画のような佇まいだ。
陰と陽、太陽と月の関係が切っても切れないように、久保と山田は、互いの作品を通じて惹かれあい、また尊敬もしているのであろう。言葉に表現出来ない「霊感」に近いもので通じ合ってるようだ。
なぜ、二人展なのかと質問してみた。
すると「視線を配ったあと、その場に残る気配が似ていると思うんです。」と久保氏が言い述べてくれた。
これは、「時間の経過」に注視した言葉ではないだろうか。
目の前に在る実像。
目の前からいなくなったが、残る虚像。
「リアル」と言うものに対して頭に残る奇妙な違和感が、彼らの創作意欲を掻き立てるのであろうか。真実を知りたいと言う欲求を強く感じる。
小高い丘の上に立つ、細くも立派な存在感を醸す一本の木。
その周りを匂いや熱気をはらんだ風が吹き荒れる。
この二人の関係を、風景に落とし込んで想像した時、そのようなイメージが脳裏に浮かんだ。
(記)SKKY/iTohen 鰺坂兼充
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久保友作(くぼゆうさく)/ 画家
1980 OSAKA —-Publication—– —-Work—– |
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山田コウ(ヤマダコウ)/ 写真家
1979 大阪生まれ |