■

彼女の絵を眺めていると、つい目を背けたくなる後ろめたさと、それとは裏腹に妙な安堵を同時に覚える。
不思議な感情の同居が、自分の中にあることを知る。

細胞そのものを見つめたような超微細な描写。かと思いきや、視点を変えると女性そのものしか持ち得ない、大らかで、したたかで、同時に強さを持つその画面は、全てがない交ぜになり私の心を刺激してくれる。
それに、触れていないのにも関わらず物理的な余韻を与えてくれるのだ。

学生時代から校外での制作発表を続けてきたmarianeだが、当時はとにかく途切れず発表していくことこそが作家として当然の責務であると感じていたそうだ。 しかし、2006年まで発表を続けるも、自分が思い描くほど＜他者との関わりを感じることができなかった＞と言う。その事実が、彼女の中に深い澱みを作ってしまうことになる。

その後、［発表したい自分］と［発表できない自分］が交錯し、身動きのとれないまま約2年が
過ぎることとなる。だが、この時間が彼女にとってかつてない転機となったようだ。

・

今展では麻紙を多用して描かれた新作に加え、旧作も併せて展示を予定している。

2年前に自らを冷凍保存したmariane。
盛夏の中、じわじわと自然解凍していく彼女の姿に是非、注目して頂きたいものだ。

＜記＞　SKKY | iTohen　角谷 慶

・

mariane