STORE

iTohen

exhibition

past

中 正人 展「小鰺ねらい」

[ご挨拶]
釣り好きの中正人。チヌ狙いでもアオリイカ狙いでもありません。
ひたすら竿を出し、 待っています。

制作のようすは実に虚心坦懐。 木炭やパステルを使って、そこら辺にあるものや釣りや遠足で目にした海や山などこだわりなくなんでも描いていきます。
ギターからはヒレが生え、トラには二つの顔がつき、海からは手足が何本も生え、何を描いても抑制のきいた色づかいながら、中正人が五感でとらえたむせ返るような生命感に圧倒されます。

ここ数年は具象的な形が消えてゆき、一見なにかわからない不思議な形体が現れるようになってきました。本人の中でもなにか引っ掛かっていた釣り針が外れたようで、 作品もより大胆に、おおらかに、自由に、過激になっていっているような気がします。

このたびいとへんさんでの個展開催の機会をいただき、独特の力強いギャラリー空間での展示がとても楽しみです。今春の大阪・名古屋での個展とはまたひと味違う、新作も交えた(ちょっと過激な)中正人作品の新たな魅力に触れていただけることと存じます。

併せて『中正人作品集DRAWINGS&WORDS』も販売いたします。

<記> アトリエひこ 石崎史子

[紹介文]
今回、iTohenにて第125回目となる展覧会では、関西を中心に活動する中正人(なか まさと)をご紹介致します。

初めて中さんの作品を拝見したのは、つい最近のこと。大阪は心斎橋にある『小大丸画廊』でのことです。中正人作品集『DRAWINGS & WORDS』刊行記念展と題したその展覧会は、名古屋を拠点に活動をするコロンラボがデザインと編集を担当したものでした。
その事もあり、好奇心が先行し訪れたのですが、これは私の心に深く突き刺さる展覧会となりました。

荒々しく生命力に充ち満ちた画面。平面から突き抜けてしまっても構わないとさえ感じ取れる勢い。そこかしこから画家の情熱が伝わります。
それ以上 に私が感銘を受けたのは、何と言っても彼の繊細な色彩感覚でした。

果たして何を持って“アウトサイド”と言うのであろうか?
正規の美術教育とは本当に必要なんであろうか?
そんな根本的な問題についても考えさせられました。

中さんの作品を通じて、絵というものが持つ、強く逞しい魅力を改めて教わった気もします。

<記> SKKY/iTohen 鯵坂兼充

中 正人 NAKA,Masato
・・・
1961年大阪生まれ。
生後3ケ月検診で腰椎に異常が認められ、11ケ月目に入院検査の結果、腰椎側弯症、脳性麻痺と診断される。 1994年よりアトリエひこに参加し絵を描き始める。

現在はアトリエで絵を描いたり、魚釣りに出かけたり、ジムやプールに通ったり、母の外出にくっついて行ったりと ゆとりある多忙な毎日を送る。