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岩瀬ゆか 個展 「スティル」

<紹介文>
関西を活動の拠点とする岩瀬ゆかは、iTohenでは昨年の同時期に引き続き2度目の個展を開催する。

昨年は<たたずみ>と題した自身初の個展を行い、今回は<スティル_Still>と括った新作の発表となる。
岩瀬も、辻本小百合と時を同じくして 先日、 第5回TIS(東京イラストレーターズ・ソサエティ)に入選する機会を得た。この成果は、活動して行くこれからの骨格を着実に築き始めることになるであろう。

本年の新作展に準備している数点を拝見すると、通底するものは<間>そのもののように筆者は感じた。 昨年度は、描かれた人物やモチーフとなったそのものに視点が注がれていたかのように思えたが、今回は人物を描いてるとは言え、その作品の外側に想像される<間>を感じ取ることが出来る。表現者としての「フトコロ」が広がってきた証拠かと思える。

その代表的なのが「She(※作品_1)」と題された花嫁の肖像だ。
人生の門出とも言うべき喜びの頂点であるはずのウェディングドレスに身をまとった女性は、全体に青いトーンでごく静かな表情で描かれてる。
結婚や、はたまた未来に対しての様々な不安感は勿論だが、その外側に大小はあるだろうが確実な幸福が待ち受けているように思われた。
それこそが、岩瀬の作品に魅力を与えている要因の一つではないだろうか?

岩瀬は色あせた藁半紙に色鉛筆やペンなどでチョコチョコと小さなスケッチを、いつも作品と併せて持参する。彼女にとってそれは習作であると同時に大きな課題へ取り組む前のウォームアップなのではないかと私は感じるようになった。
昨年、「長く続けることが大切」と静かながらも熱く語った彼女は、1年が経過した今でも変わることなくテンションを保ち続けている。

あたかも長距離ランナーのごとく、眈々と自身のペースを保ちつつ、必要を感じれば無理なく水分補給を心掛け、たまには風景など眺めつつ目的地へ向かって行くことだろう。

“2度目の難所”を通過することによって彼女は私達鑑賞者に、どのような「勇気ある走り」を披露してくれるのであろうか。

<記> SKKY/iTohen_鯵坂兼充

岩瀬ゆか Yuka Iwase

1978年 生まれ
2005年 アミューズアートジャム2005 参加 (京都文化博物館)
現在グラフィックデザイナーとして勤務しながら制作活動中。
2006年 第5回TIS公募 入選