STORE

iTohen

exhibition

past

羽良多平吉 個展「未来のイヴ 」

<紹介文>
今回7月12日(水)~30日(日)の間、iTohenにて第37回目となる企画展では、関東を拠点に精力的に活動を続けるエディトリアル・デザイナー<書容設計者>である羽良多平吉(ハラタ・ヘイキチ)氏をご紹介致します。

羽良多平吉氏は、東京芸術大学を卒業後、タウン誌「新宿プレイマップ」や工作舎 「遊」誌の編集制作に参加し、’75年の個展「虹色科学展」ではその特有の香るような色彩と構成で注目を集めました。

以後、月刊漫画誌「ガロ」、インディーズ系自販機本として伝説となった「ヘヴン」誌やストリート・マガジン「クイック・ジャパン」 誌など、サブカルチャー系の雑誌を数多く手がけ、また、YMO(イエロー・マジック・ オーケストラ)や井上陽水をはじめとするミュージシャンのアルバム・ジャケット・ デザインや、コミック本のブック・デザインなどでユニークで独特、かつ非常に細部に渡る繊細な仕事を残しています。

__._____/._____________________/.________________/_..__________
* 参考テキスト:羽良多平吉展 2001+2「点国ドライヴ」atクリエイションギャラリーG8

<企画主旨>
ヴェリエ・ド・リラダンの著作に「未来のイヴ」がある。この著作は1877年から1879年にかけて創作されたものと推定されている。リラダンが39歳から41歳にかけての頃に書かれたもので、彼の生涯の中で最も悲惨な時代の作品の一つだ。
当時の創作の様子をギュスターヴ・ギーシュという人物が以下のように記述している。

『モーブージュ街の、家具一つ無い空虚な部屋の凍りつくような恐ろしい寒さの中で、彼(リラダン)は床に腹這いになったままインク壺の底に残った数滴のインクを水で溶かして、<未来のイヴ>の長い幾章かを書き綴っていた。』

著者の名前=Villiers de l’lsle-Adam ヴェリエ・ド・リラダンの中に<Adam_アダム>という言葉が隠されていたことに気付いた羽良多氏は、今展の創作にあたり大きくインスピレーションを得たようだ。

今展は、羽良多氏の真骨頂とも言うべきフォントグラフィーとピクセルドローイング(デジタルドローイング)から産まれる「未来のイブ」の生成に取り組む。作品中には鏡、コラージュ、ノイズが多く登場するとのことだ。羽良多氏が言うには、このデジタルな時代の中にあって未来的な香りの漂う仕事がしてみたいとのことだ。
その作品の中に囲まれた時、果たして「未来のイヴ」が一体、何の事を指し示しているのかがお分かり頂けるかと思う。

羽良多氏にとって、関西(大阪)では初となる発表であり、 また普段の仕事ではない発表を主旨とした羽良多氏個人の制作発表となります。

この機会に皆様、是非とも羽良多氏の新境地を御覧頂ければ幸いです。

___________/_..____________../._____________________/._____
* 参考テキスト:未来のイヴ_訳:渡辺一夫 白水社刊(昭和十二年十月三十日発行)

<記> SKKY_鯵坂 兼充

羽良多 平吉 HeiQuiti HARATA

1947年 東京生まれ。
東京芸術大学美術学部工芸科ヴィジュアル・デザイン専攻卒業
1979年 WXY(ダヴレクシイ)設立。
1989年 EDiX(エディックス)を設立。
’95年以降Macintosh DTPに新境地を開拓。
1990年 イナガキ・タルホ著『一千一秒物語』(透土社)で講談社出版文化賞ブックデザイン賞
のほか多数受賞。
現在、女子美術短期大学造形学科デザインコース情報メディア系研究室専攻科講師。
<未来のイヴ展_関連イベント>
■オープニングパーティー 7月12日 初日(水)午後6時より
ピアニストコンポーザー:Aricoをゲストに迎え、今展に合わせ制作した新曲
<未来のイヴ>をご披露致します。どなた様もお気軽にご参加下さいませ。

__.______________/._________________________/_..________../協賛:家田紙工