2006.3.15 _ 2006.3.19
<紹介文> 今回、iTohenにて第30回目となる企画展では、
関西を拠点に活動を続ける中川貴雄をご紹介致します。
人が絵を描くという行為は、一体何が原動力となっているのだろうか。
他者へのメッセージ? コミュニケーションをとる一手段? 自己の内なる探求または構築など・・・?
それは人の数だけ存在し、生まれ育った環境と密接な関係の上にこそ在ると言えるのではないだろうか?
では、中川貴雄の場合、一体それは何に相当するのであろう。
彼は、和歌山県御坊(ごぼう)市という豊かな自然が今もなお残る土地で生まれる。
幼少の頃は山や川、海など当たり前のようにある自然が遊びのフィールドとなった。
毎日泥まみれになって遊び、また一人になると黙々と好んで絵を描いていたそうだ。
高校を卒業し、しばらくアルバイト生活をしている時 職場の知人に大阪のとある専門学校を紹介される。
そこで絵を描くことが仕事として成立できるイラストレーターという職業があることを初めて知ることになった。
毎日絵を描き続けていた中川にとってこれが大きな転機となったわけだ。
単身、大阪に移りイラストレーターに成るべく学校に通い始めることとなる。
当時の彼は、大阪という土地にある各商業施設が密集した場所で
あくせくと働く人々の渦に言葉に出来ない衝撃を受けたそうだ。
この高速に流動する街に身を置くことで、自分の育った故郷にいかに
健全な時間の流れが在ったかを相対化することができたらしい。
その存在に改めて気付かされた彼は、自然と描いていた絵のモチーフの対象が
原体験からくる心象風景であったことに気付く。
どうやら彼にとって絵という存在は、自身の位置を指し示す定点観測船のような役割を果たしているようだ。
今までただ漠然と絵を描いていた行為が、自身の進路を確立するための明確な目的へと変わり
また 愛すべき故郷に対するオマージュへと拡がりをみせているようにも思える。
絵を描き続けるにつれ、故郷に対する想いはますます強くなることだろう。
しかしそれは彼にとって古きを懐かしむための想いだけではない。
むしろそこに新しい発見が存在するのだと確信を抱いているのだ。
まだ小さいかもしれない彼の船は、今日も明日も明後日も、帆をピンと張り次なる点を映し出す。
※ころころ・・・和歌山県では、<泥んこ、泥まみれ>のことを意味する。
<記> SKKY 角谷 慶
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<略 歴> | ||
1979 2004 2005 |
和歌山県生まれ 大阪デザイナー専門学校イラストレーション学科卒業 同校ビジュアルデザイン研究科修了 |
<活動歴> | ||
2003
2004 2005 2006 |
高槻JAZZ STREET 2003(大阪) ステージアートボード制作 高槻JAZZ STREET 2003(大阪) ライブペイント からほりまちアート(大阪) ライブペイント 高槻JAZZ STREET 2004(大阪) ステージアートボード制作 守口敬任会病院(大阪)にて作品展示中 |
<受賞歴> | ||
2003
2004 |
Sweet Camel Tシャツイラストコンペ 優秀賞 イラストレーションコンペWEST&EAST 賞候補 イラストレーションコンペWEST&EAST 佳作 イラストレーションコンペWEST&EAST 賞候補 HBギャラリーFILEコンペ 入選 第10回 リキテックス・ビエンナーレ学校部門 優秀学校賞 |