2005.11.1 _ 2005.11.13
<紹介文> | |||
彼女は小さい頃から何かを創る事が好きだった。
特に表現者として、自身の核となるものを意識的に形成せずとも誰もが皆、同じように幼少の頃にはモノを創ることに対して ある種の熱をおぼえ夢中になった経験があるはずだ。それはほぼ一過性にすぎない情熱であるはずだが、川瀬の作品とその姿勢を見る限りまったくそのままで大人になってしまったことへの高揚感と罪悪感とが ない交ぜになって、押し寄せるように作品に表出しているようにさえ思える。 自意識の芽生えと共にある種の憶憬の念を持って芸術大学へと進み、 映像・音楽・グラフィックデザイン等と多種に渡って学ぶ事になる。 しかしそのいずれもが、自分の理想とする着地点ではなく、とまどいを感じる事になる。 結果、最も自己を最適に表現できると信じた手段が[絵を描く]ということだったそうだ。 川瀬にとってはあらかじめ準備された舞台に、元々興味が持てなかったのかも知れない。 偶然でも必然でもなく、自然と身に付いていた特異な能力にようやく気づいた川瀬は 23歳で作家としてのスタートを切る。 彼女にとって[絵を描く]行為そのものは、無意識の深い井戸を掘る作業に似ているという。 「描くことで気づく」という川瀬の言葉から察するに、作品はその分身 又は鏡であり常にメンテナンスを施さなければいけない代物なのであろう。 川瀬の作品の中にはしばしば登場する[独]の一文字。 それは[独立]のことを指すそうだ。弱い自分自身からの独立を意味すると言う。 これを聞き無意識の産物を意識的に開花させんとする彼女の建設的な姿勢が作品を通して伝わってくる。 作家が活動を続ける上で重要だと思われる[客観視]する要素は、公の場で発表することでより促進される。 彼女は、今まさに[独立]した舞台を創ろうとしているのであろう。 今展では、実験的に制作した作品の発表と100部限定のドローイング集『金平 コンペイ』を同時に展示販売致します。併せてご高覧下さいませ。 ・ 川瀬知代
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