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田口ヒロミ「coromo」

<紹介文>
幼少の頃から、絵は描いていたと言う。 当時は少女漫画家になるつもりだったらしい。

本格的に絵を学ぶため、芸術短大に進むが 学校という枠内から抜け出す勇気が持てず 一般的に評価を得られるものしか描けなかった。 “本当に描きたい絵とは”という疑問が解決へ結びつかないまま、更に専門学校へと進むがやはり結果は変わらなかった。
卒業後、広告代理店に就職しグラフィックデザイナーとして働くこととなる。 絵から離れた生活が続くが、偶然立ち寄った本屋でエリザベス・ペイトン(1965生 米・画家)の 画集を目にする。今まで商業美術として使われることを前提に絵を描き続けてきたが 繊細かつ透明感のある自由なペイトンのタッチに自身の概念をくつがえされたらしい。 そこで改めて自身を見つめ直し、自分の描きたい物は人物(女性)だということにも 気づかされる事となる。 それからは迷うことなく素直に自分の描きたい絵を描き続ける制作が始まった。 結果、玄光社から出版されている<イラストレーション>誌にある全国での紙上コンペティション[チョイス]という公募で入選(第111回:若野桂 選)という快挙を成し遂げる。

彼女は水彩紙に油絵具を用いて描く。 色と色の馴染みが良く、紙に自然に溶け込んでいくのだと言う。化粧を塗るように描き上げられた女性の顔は、その油絵具によって水彩とはまたちがった深みを増し、独特の面持ちが表現されている。
今回『衣』と題してテーマに取り上げたのは、彼女が描く女性達が 衣を纏うように幾重にも塗り重ねられ ふくよかな表情が伺えたからだ。
また、衣という字は三つの解体された“人”という文字から構成されている。 破壊し、再生させるという創造行為の中に、新境地を迎えようとしている。

<記> SKKY 角谷 慶

<履 歴>

1975年 生まれ。 大阪芸術短期大学デザイン美術学科卒業、 大阪総合デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒業。 専門学校卒業後、2年間広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務。 以後、作品制作を続けながらDTPオペレータの派遣社員として勤務。 フリーランスの作家として、個展を開催。 現在に至る。

2000 第111回「ザ・チョイス」入選(若野 柱選)
2001 [モリスキッチン] カレンダー・DM・Tシャツのイラストレーションと装飾画を制作。
2004 『緋色』 田口ヒロミ個展(iTohen:大阪)
2005 『衣 ころも』 田口ヒロミ個展(iTohen:大阪)
関西ウォーカー4月号に掲載されました。