2004.11.16 _ 2004.11.28
「こだわるための手段 楽しむための方法」
現在、私達が生活を営む上で必要不可欠なものの一つに机や椅子などの【家具】があり、同時にそこには必然的に【作り手】が存在します。そして、その作られた物には作り手の想いや情熱が込められているはずです。 今回、iTohenで開催を予定している展覧会は、家具製作を主とする5人の作り手による家具を中心とした造作物を紹介致します。
兵庫県の緑が香る篠山に制作工房を構える中村伸一郎さんは、意外な道から家具職人を志した人物です。 コンピューターソフト関係の会社に10年間、籍を置いた氏は一念発起し現在に至ります。 そんな中村さんのこだわりは、できる限り身体に害の少ない接着剤や塗料を使用することです。家具を使う人が安心して暮らせるようにとの願いが込められているのでしょう。
足立恵さんは、兵庫県朝来郡和田山町にある(株)太田家具内の木工所に籍を置き制作に取り組んでいます。手作り家具にこだわり、本来の家具の使い良さや温かさを伝えようしていることが伺えます。
グラフィックデザイナーを経て家具職人の道に進んだ安井悦子さんは、京都にあるT-room(共同アトリエ)内で製作しています。日々の生活や空間に自然に馴染んで(溶け込んで)いきながら、それでいて少し特別な愛着を持ってもらえるような家具を目指しています。
そして、ムラカミイス(夫婦によるユニット)の村上浩次さんと有佳さんは、オリジナルの椅子製作とともに、古くなったり破れてしまった椅子の張り替えも行っています。これには良い家具を残していきたい、長く使ってもらいたいという願いが込められています。 また同時に、椅子生地を使って鞄や小物の製作も行っているのが、このユニットの特徴かと思われます。
家具に対する想いやこだわりはそれぞれの5人ですが、何よりも家具を作ること(物を創ること)を心底楽しんでいるのが、それぞれの工房を訪れインタビューをした後の印象です。楽しんで良いモノを作る。そういった幸せな過程を経た家具は自ずと優しい空気を作り出し、また豊かな潤いをもたらすことと確信しています。 開催期間中は、その5人の作り手による家具の展示販売を中心に、今回の為に特別に企画された小物が登場します。 皆様のご来場、心よりお待ち申し上げております。
Text :SKKY 川上勝己
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中村伸一郎 NAKAMURA,Shinichiro
1965
1999 |
生まれ コンピュータソフト会社勤務を経て 京都府立福知山高等技術専門校にて家具製作を学ぶ 家具工房 GAKU を設立 |
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足立 恵 ADACHI,Megumi
1969
1999 |
生まれ 大阪デザイナー学院 建築デザイン科にて建築を学ぶ 建築事務所・工務店勤務を経て 京都府立福知山高等技術専門校にて家具製作を学ぶ 株式会社太田家具 に就職 |
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安井悦子 YASUI,Etsuko
1974
1999 |
生まれ 京都市立銅駝美術工芸高等学校 図案科 京都市立芸術大学ビジュアルデザイン科 デザイン会社勤務を経て 京都府立福知山高等技術専門校にて家具製作を学ぶ T-room(共同アトリエ)にて家具製作を始める |
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村上浩次 MURAKAMI,Koji
1976 1993~ 2001 |
生まれ 京都の椅子張り会社で修行 ムラカミイス 設立 |
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村上有佳 MURAKAMI,Yuka
1977 2000 2001 2003 |
生まれ 京都府立福知山高等技術専門校にて家具製作を学ぶ 京都の椅子張り会社に入社 ムラカミイス に加わる |