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イケダ ユーコ「寝子」

脱力感の中から生まれる

個展開催に関して、イケダユーコに「なぜ、絵を描くのですか?」と質問してみたことがあります。 すると、「話すことが苦手だから…」という答えが返ってきました。 それは手紙を書く感覚と似ているんだとも本人は言います。 面と向かって言えないことを手紙又は電子メールというツールを利用して相手に伝えるように自分の存在を「絵」というツールを使ってイケダユーコは第3者に表現しているかのようです。 そんな彼女は在学時代の卒業制作にあわせて自費出版で[オンス]という作品集を作りました。 自費で作品集を作るということは、そう簡単に出来ることではありません。大金を伴うだけに勇気のいる決断だったかと思われます。イケダユーコは一見、小心な人物に見えますが、反して独特の感性と行動力を持っているように感じました。 絵を描く時間帯や環境が大事という彼女は、みんなが寝静まる頃、絵筆を握ることが多いそうです。 ひとりの時間が好きで、何より一番リラックス(脱力)している時間だからとのこと。 一見、子供が落書きしたように見られる作品は、肩に力を入れることのないそんな脱力感のなかで描かれています。言わば、彼女は自分の右脳との会話を楽しめる時間が何より大切なようです。 だから、観覧者を日常では忘れがちな、やさしい気持ちにさせてくれるし、又まるで夢の中にいるような気持ちにさせてくれるのだと思います。 商業美術家になるために始めた、「描く」ということは現在では彼女の生活の必要不可欠な一部になっているでしょう。 猫は、また[寝る子]とも言えるそうです。イケダユーコはまだ眠りから覚めたばかりのNEKOかも知れません。

Text :SKKY 川上勝己

池田裕子 IKEDA,Yuko

1980.1  広島生まれ
2002.4  大阪総合デザイン専門学校
イラストレーション科 卒業

2001.10 [WEST BEST]展 ギャラリー80(東京)
2002.4  38人展[spring]  Fukugan+(大阪)
2002.5  版画展  ギャラリー千(大阪)
2003.4  [DRAWING JAMcurved flon vol.2]
Contents Label Cafe(大阪)
2004.10 個展[寝子 NEKO]  いとへん(大阪)