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田中 豪 個展「ユーレイヒョーホン」

iTohenにて第303回目となる今展では、関西を拠点に活動する作家、田中豪(たなかごう)さんをご紹介致します。

幽霊の標本とは実に不思議な着想です。もしかして、見える!?ソッチのほうの方ですか?と初めて作品を拝見した時は訝しく感じたものです。

しかし、本人と話をするうちに実に朴訥とした方で、まっすぐコチラを向いて伝えようとする姿に心打たれる印象すら受けました。

長崎で生まれ育ったと言う田中さん。京都にお住まいになって10年が経とうとしています。普段は保育園に保父さんとして勤め生計を立てています。十分に「食べていけている」のにも関わらず創作を続けるその真意は何なのか・・・?

九州でアーティストを養成する専門学校に入学。実験的に物事に取り組むことは学べても、何か不完全燃焼のまま卒業します。その後、持病に悩まされ、思うままに活動できない2年間を過ごし、その山を乗り越え一念発起の気持ちで京都へ。そこでイラストレーションについて学べる学校に1年間、通いました。

イラストレーターになりたいのですか、と問えば、たまたま自分の作品を観て意見をもらえる場所だったからと田中さん。どこかにポートフォリオを抱えて飛び込むのではなく、お金を払ってでも、その立場を手に入れた姿勢はなんと謙虚なことか。

国内でも「公募展」と題するものはたくさん存在しますが、その中でも“標高”の険しい一つ_1 WALL(ワンウォール)_に挑み、見事 グランプリを獲得。その時にようやく自分が信じ続けていた事に間違いはないのだと思ったと聞かせてくれました。

表現方法が少し独特。PCで描画される漫画家も増えたとは言え、昔ながらに手描きでスクリーントーンを貼る、と言う方もまだまだ多くいらっしゃるでしょう。田中さんはその方法で作品化します。透明のシートに貼られたその「幽霊」たちは、背面に控えめな彩色が施され、壁面に不思議な影を投影します。

・・・と、ここまでしか僕には彼の作品の魅力を伝える文章力がございません。

何よりご自分の目でご覧頂きたい作品群を発表されたことには間違いないのです。

iTohen 鯵坂兼充

2013年 東京銀座 ガーディアン/ガーデン グランプリ受賞者 個展[DISCO]
2013年 prinz[アイキャッチ]
2015年6月 恵文社アンフェール[幽霊標本]
2015年9月 iTohen[ユーレイヒョーホン]