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いぬ / 奥野敬太写真展「パンピー」

iTohenにて第293回目となる今展では、関西を拠点に活動する写真家の奥野敬太こと、“いぬ”氏をご紹介いたします。

普段は写真事務所で働きながら、自由の効く時間を作っては自身の作品を撮影している“いぬ”くん。 彼と最初に会ったのはiTohenの近所にある共通の知り合いのお店でのことでした。

そこで開催していたワークショップの1つに「Tシャツに写真をプリントします」 という企画に参加していた彼が作品について話をしてくれたことが契機になり 親交をあたためることになりました。

ワークショップで拝見した作品は「ファンタジー」や「生と死」を想起させるものが多く、 中には何を撮っているのかさえ分からないくらい被写体に近づいて撮影したものもありました。

写真であるにも関わらず抽象的で柔らかな表現から、女性のような目線を兼ね備えた切りとり方をする、幅広い視野を持つ作家だと思いました。

広報物を作成するにあたり、最近の作品を見せてもらうと、「ファンタジー」からはかけ離れた、 生々しくリアルで男性的、そして肩の力が抜け、真実を写す「写真」という日本語が持つ 呪縛から解放されたかのような変貌ぶりに少しビックリしました。

彼の作品は題材こそ暗く重い内容でありながらも、そこかしこから滲み出る 「ハッピー」なものがこぼれ落ちています。

彼独自の「社会風刺」なのでしょうか。 ややピリリと独特なスパイスが効いた味わいがあります。

皮肉の中に独特なユーモラスを混ぜ込んだ写真家“いぬ”の世界をぜひ、ごゆっくり楽しんでください。

記載_iTohen 米須清成