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保手濱 拓 展

iTohenにて第244回目となる今展では、山口を拠点として活動を続ける保手濱拓(ほてはま・たく)さんをご紹介致します。弊廊では初の展示となります。


2003年12月から、このiTohenと言う場所を運営していて、今や一番の喜びはお金でもなく(欲しいですが)名誉でもなく(これも欲しいですが)、何より「会いたかった人に会える」ようになったことです。
小さく些細な場所ですが、全国ときに海外からも何に興味を持って下さったのか知る由もありませんが、善意を持って足を運んで下さる場合がほとんどとなりました。なんと健康的なことなのだろうと、その幸運を有難く感じる日々ですが、そんな中 保手濱拓さんもわざわざ山口県から単身で、自費出版されたという詩集を携えて訪問してくれました。
それが今から2年ほど前のこと。それから彼の作品や、日々の出来事や感じた事を綴ったウェブサイトを拝見するようになり、作品もさることながら彼の人柄や生活そのものに興味が募ってきて今展に至ることになりました。

モチーフに選ばれたものは花や、草や動物と言った誰もが目にするものです。触ったり育てたり、そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 しかし、保手濱さんが興味を抱くそれらのなんの変哲もないものにこそ自前のアンテナが作動するようで、どの絵も心地良さを同居させたものに昇華されています。

20代前半に東京に住み、制作活動に挑戦したと言います。それこそ「何でも見てやろう」と言う気持ちが勝っていたのでしょうか、絵を描き本を読み、映画を観ては・・の生活を過ごしたと言います。

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その当時は絵を描くときには必ず、画用紙に定規できっちり枠を引き、すこしでもドローイングが枠をはみ出したりするときれいに消しゴムで消していました。そして頭の中のイメージをモノを見ることなく、延々描いていました。丸とか四画とか三角とか、そんなのばかりです。時間をかけて出来た絵を飾って眺めてみても、描いた本人でも堅苦しくて見ていて疲れるようなものばかりでした。

「自縄自縛」と言う、誰もが一度ははまりこんでしまう“罠”に引っかかってしまっていたのでしょうか。この連鎖を断ち切るように東京の場所を引き払い実家のある山口へ戻ります。

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自然に触れ、興味のあるモチーフをじっくりと観察するようになって、ズレていたり、はみ出していたり、よごれていることが自然で、そのほうが心地良いんだと感じるようになり、絵も変わりました。楽しく絵が描けるようになったのもその頃からです。

小学生の頃の話しを伺いました。図工でとても大きな紙に絵を描く授業があり、クラスのみんながカラフルなキャラクターや動物などを描く中で、保手濱さんはシンプルな絵が描きたいと思い、大きな葉っぱを一枚描いたと言います。小さいころに一人でしていたことと、今現在していることはどこかですごく通じている気がすると振り返ります。

灯台下暗し、とはよく言ったもので誰もが経験したことがあるかと思いますが、保手濱さんは創作活動を通じて現実的にそのような一連の作業を確認し、軌道修正を自ら行えた稀有な存在なのかも知れません。 だからこそ山口で絵を描き、文章を綴る意義に感謝を覚えているのでしょう。

今展は平面作品を20点ほど、そして詩集・小冊子(作品集)を展示致します。

是非、この機会に足をお運びください。

<記>  iTohen 鯵坂 兼充

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保手濱 拓 Taku HOTEHAMA

美術家
1980年兵庫県生まれ 山口県在住
2013年 保手濱拓 個展(大阪市北区本庄西_iTohen)
d design travel YAMAGUCHI EXHIBITION 参加
2012年 陶芸家の吉田次朗さんと 二人展(大阪市住吉区_EDAN)
めぐるはる展(京都_sfera)
meseum as it as 常設展示に出品参加 他

出版物:「やさしいけしき」 「草にすわる」 (理論社)
受賞歴:第4回 やまぐち新進アーティスト大賞
イラストレーション:ラジオ深夜便 明日へのことば特選集 装丁画担当

保手濱 拓 Official Site