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武藤良子 展「群 生」

iTohenにて第229回目となる今展では、関東を拠点に活動を続ける武藤良子氏をご紹介致します。2008年4月に開催して以来、4年振り2度目の個展となります。


以前のiTohenでの展覧会では、モノクローム1色だけの構成で、徹底して日用品や目にした事のあるもの、また誰もが手にした事のあるものが描かれました。その姿勢は一貫していて潔いものでした。
それはまるで切れ味だけを目指して没入する刀を作る職人のようでもあり、また船上で脇目もふらず集中して鰹を釣り上げる漁夫のようでもあり。

四年の歳月が経ち、イラストレーションの仕事も数多く手掛け、同時に東京だけに囚われる事の無い、数多くの各地で発表を積み重ねてきました。今回の作品は、その“場数”を踏んできた表れなのでしょうか。色とりどりに溢れんばかりの彩色が施された“鶏頭(けいとう)の花”が発表されます。

とある日にとある花屋の店頭にならぶ、この花を見つけたそうです。わりと“もっさり”とビロードの布のような花弁を持つこの特徴ある花が、ひょんなことで脳裏に焼き付き、大群で埋め尽くしたい欲求に駆られたと言います。画面一杯に正々堂々と立つこれらは、鑑賞者の一人である私の、生きしかたの姿勢を問いただすかのように語り掛けてくれました。

関西での発表は、まっさらな気持ちで絵に触れて頂く機会がある分、武藤さんにとっては、緊張を思い起こす場所となっていると言います。その分、発表を控える作家にとっては嬉しくもあり、怖くもあり・・・といった心境なのかも知れません。

熟練の柔道家の一本背負いよろしく、「おりゃーーっ!」とした気持ちで終始一貫して作品を描き上げたと言います。ここに武藤さんの絵に対する、または表現に対する神髄を見た気もしました。何とも心地の良い一本背負いをされた気分です。しかし、痛くない。なぜなら熟練の技が、行き届いているからです。

今展は平面作品を中心に、30点ほどの作品が発表される予定です。
是非、この機会にご来場くださいませ。

iTohen 鯵坂兼充

武藤 良子 むとう・りょうこ

<略 歴>
1971年生まれ
セツ・モードセミナー卒
2004年 青山HBギャラリーにて初個展「点と線と色と」
2005年 目白ポポタムにてミニ個展「冬日」
2006年 神保町古書会館にて個展「雨乞い小唄」
2006年 目白ポポタムにて個展「空に鳴く虫」
2007年 代官山ギャラリーイッツにて2人展「玄関と台所」
2007年 目白ポポタムにて個展「茫々」
2008年 代官山ギャラリーイッツにて5人展「クギとカギと・・・」
2008年 大阪iTohenにて個展「日曜おんな」
2009年4月 耳朶とスプーン(マルプギャラリー・要町)
2009年6月 みんな夢の中(火星の庭・仙台)
2010年6月 曇天画(ブックギャラリーポポタム)
2010年8月 曇天画(蟲文庫・倉敷)
2011年8月 スカートの柄(ギャラリーU1 SPACE・鹿児島)
2012年1月 『もの食う本』原画展(市場の古本屋ウララ・沖縄)
2012年3月 ちくま文庫『もの食う本』ミニ原画展(往来堂書店・千駄木)
2012年4月 十二篇(ブックギャラリーポポタム)
2012年5月 十二篇・盛岡(Cyg・盛岡)
2012年10月 大阪iTohenにて個展「群生」
2012年10月 スカートの柄・京都(メリーゴーランド京都)

その他グループ展に参加多数

【入選・掲載歴】
装画を描くコンペティション VOL.2市川敏明賞
第9回『HB FILE コンペ』廣村正彰特別賞
第14回『HB FILE コンペ』藤枝リュウジ賞
第151回ザ・チョイス入選(選者・緒方修一氏)
第18回『HB FILE コンペ』藤枝リュウジ特別賞 他

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