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前田ひさえ展「七月は金色」

iTohenにて第223回目となる今展では、東京を拠点に活動を続けるイラストレーター:前田ひさえ氏をご紹介致します。弊廊では初、また関西での発表も初めてとなります。


前田さんの仕事は、何かの雑誌に掲載されてたイラストレーションで拝見したのが最初だったと思います。さらっと描かれていますが、それを鑑賞する側、使う側(編集者やデザイナー)には品もよく、バランスが絶妙で配慮の行き届いたものだと感じていました。
まとめて拝見する機会を得たのは東京の中目黒にあるクラスカ内の<ギャラリー・ショップ・ドー>でした。原画を拝見してまず驚いたのが、デッサン力です。デフォルメされた人が多く描かれてはいますが独特のプロポーションを保っており、なぜだか新しい予兆のようなものを感じたのです。

そこからずっと前田さんの仕事が気に掛かっていました。

小さい頃から、多くの方がそうでしょうが、落書きに夢中になったそうですが、美大時代はデザインの勉強をされたといいます。しかし、どうにも肌に馴染めなかった様子で、そのまま働くようになってからも、その違和感は拭えなかったそうです。

色々と思い悩んだことでしょう。映画や音楽、本などに触れては、自分の中に残っていくキーワードたちをどうやったら、有効に使って何か作れるんだろう・・と考えたそうです。

考えたあげく、前田さんにとっては<絵>しか表現方法が見当たらなかったようです。

展覧会を自ら企画して積極的に・・というタイプではないと言いますが、声を掛けられるがまま個展の回数を増やして行きました。言葉に言い難い魅力をギャラリーを営む各地の方が彼女の作品に対して感じ取っていたのでしょう。僕もまさにその一人だと言えます。

イラストレーターとしての自分の立ち位置を昔の画家になぞらえて、展示で絵を売ったりしながら装丁や、挿絵、ポスターを描いたり….が、気分として近いと教えてくれました。

なんだか重く湿ったような空気が流れる今の時代に、彼女の描く女性達が軽やかに駆け抜けます。そういった<強さ>を感じ取って頂けたらと思います。

今展は15点ほどの作品をご披露する予定にしております。是非、この機会にご来場くださいませ。

iTohen 鯵坂兼充

前田ひさえ Hisae Maeda

1978年生まれ。イラストレーターとして主に関東を拠点に活動。
雑誌・書籍・プロダクト等の仕事の他、定期的な個展での発表を継続。

「Reckless Night」(’08/CLASKA)
「かがみねこ」(’09/hair&make figue)
「グレイッシュ・タイツ」(’10/gallery&workshop はちどり)
「Things You Used To Wear あのとき着ていた服」(’11/ROKUJIGEN)など。

アトリエであるkvinaのメンバーとして、セルフ・パブリッシング等の活動も行っている。

hisae maeda official web site
LIBRO de KVINA