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寺井ゆうた 展

<紹介文>
今回、iTohenにて第151回目となる今展では、関東を拠点に精力的に活動を続ける [寺井ゆうた]をご紹介致します。

本展が寺井にとって、初となる個展です。関東を発表の拠点に数々のイベントに出品を繰り返してきましたが各地で彼の作品は好意的には受け入れられなかったようです。
私自身も彼本人を6年ほど前から知っている間柄ですが、当時は人間的にキメが粗く、物事のとらえ方が、若さゆえもあるのか性急で、それも作品にきちんと反映され、見るに耐えないものでした。
ですが、当時からキラリと光る何かが描くもののどれにも潜んでいたことは事実だったのです。

久し振りにフラリと現れた彼は、当時 私が抱いていた印象をぐらつかせるほど程の変貌振り。表情も、そして会話の内容も、さらに作品まで違います。
日常の中で深く沈静し、思考する時間や経験をしてきたのでしょうか。この変わり様は“豹変” と言っても言い過ぎではないでしょう。
作品のソースとなるもの、またコンセプトなるものはあるのか、と問うと、「全く無 い。」と言い切る寺井。しかし、何も無く描けるはずがないと、私は意地になり問い詰めてみました。すると、彼が言うには「目を閉じれば、そこに図柄が見えている。 それを描かなければ気が済まない」と言います。
100点近くにも及ぶ作品に囲まれてみると、あながちそれは、嘘ではないのでしょう。大真面目に言い切る寺井の態度に好感さえ抱きます。

小さく積み重ねるように描き貯めたドローイング。そこには彼が出会った人々の様々 な表情が定着されています。水彩で表現された作品群は心象風景でしょうか。支離滅裂なストーリーが、ある一定の規律を持って入り乱れています。

このエネルギーを何と表現すれば伝わるのでしょう。私は困惑と共に、驚く観覧者を 見るのが今から非常に楽しみでなりません。

皆様、この機会に是非ともご高覧下さいますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

記 SKKY | iTohen 鯵坂 兼充