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ミス・ヘッカー+iTohen 協同企画展「と線 and Line」Group Exhibition

ドイツ・ベルリンのミッテ地区に、2005年6月にオープンした<ミス・ヘッカー>というサロンがある。
そこは大崎洋一(おおさきよういち)とフローリアン・グレッセル(Florian Graessel)という人物が
共同で、週末の日曜日の夜のみオープンさせている全くのプライベート空間である。

日本で言う、東京の代官山にありそうなブランドショップが路面を制している通りが多い中、
アルテ シューンハウザーという通りに一件だけ取り残されたかのように佇む古いアパートの一室に
<ミス・ヘッカー>がある。

オープン改装時、築100年の歴史を持つこのアパートの壁からは、それぞれの時代を象徴する
[塗料]や[装飾模様]などが次々に表れたそうだ。

それをみた大崎氏はその蓄積を<時間の壁>と捉え、いま止めてしまうのではなく
この先も重ね続けていくことを決意する。 ここではサロンと併行して、両氏が出会ったアーティストの作品が展示され、また現在という<時間の層>を塗り重ね続けている。

昨年、6月に初めて<ミス・ヘッカー>という空間を訪れたが、なぜかとても<ベルリン>らしく感じた。
ドイツと言う国自体、初めて訪問したのにも関わらずだ。

生々しくも温かく、そして時に強烈な残酷さをも感じさせる…、全てが同居したような不思議な空間だった。

それは街が経済都市へと変貌し空洞化する一方、何ものにも束縛されない自由な時間と空間が、また人との生身の交流が、ここに純粋に流れていたからではないだろうかと思う。

現にここに集う人々が、みな童心のような瞳で私を迎え入れてくれたことが
何より印象深く、心地よかった。


今展では、ミス・ヘッカーが推薦するベルリン在住の作家14名をドローイング、写真、シルクスクリーン、
作品集(本)という作品形式でご紹介いたします。
日本で発表の機会を持たない彼らを弊廊で展示出来ることに、私自身 大変光栄に思っています。

 <記> SKKY/iTohen 角谷 慶