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須川まきこ展「Lace Queen」

<紹介文>
第44回目となる弊廊での企画展では、関西を拠点に活動を続けるイラストレーターである
<須川まきこ>をご紹介致します。

彼女は主にペンを用い、繊細な線の連なりで女性像を描く。
そのどれもが一見すると 非常にエロティックで、私を含む男性諸氏には少々、ドギマギさせられる作風だ。

最初に彼女の作品集<Lace Queen>※を拝見した時に、その様な印象が先に立ってしまった。
作品の表面しか見えていなかった現れであろう。

しかし、彼女の作品はそれだけではないことが時間の経過と共に見えてくる。
馬で例えるならば、精悍な眼差しを持ったサラブレッドの貫禄を思わせるのだ。

「プライベートな時間の女性像を描きたい。」と語る彼女のモチーフは、大学に在籍してから十数年経た今も一貫して変わらない。
確かにそのどれもが他人が一切介入出来ない、濃密で官能的な蜜を含んだ満ち足りた時間=“個”の時間を思わせる。

高校時代に女子寮で過ごした須川は、どれも同じ間取りだと言うのに、性格の違う人物達が生活をするだけで全く違う世界観を創り出すことに新鮮な驚きを感じたと言う。
室内での彼女たちと、屋外での彼女たちの出で立ちのあまりのギャップに非常に興味をそそられたとも語る。そこにはある意味、尊敬の眼差しも入っていたに違いない。
それこそ、ここに彼女が生来持ち得る魂の血統の良さが表出していると言っても過言でないないだろう。
大げさかもしれないが、そこで社会の中で生きていく技術を学び取ったのかも知れないと、話を聞きながら感じた次第だ。

須川の創り出す世界の魅力を考えた時に、そういった対極にあるものを卑下するのではなく、受容し分析できる能力にあるのではないかと私は考える。
何はともあれ、須川の世界で埋め尽くされる空間は、一体どんな“室内”になるのであろう。

固唾をのんで見守る心境である。

<記>skky_鯵坂兼充