STORE

iTohen

exhibition

past

梢 夏子 個展「にこげの呼吸」

<記> 梢 夏子

<紹介文>
関西を活動の拠点とする梢夏子は、iTohenでは初となる個展を開催する。

彼女の作品を最初に拝見する機会を得たのは、昨年の夏に弊廊にて開催した企画展<そらみいと>であった。
大学に進学し日本画を専攻。卒業後も精力的に作品の発表を続けていた梢はしかし、少しづつ歩む速度を落としはじめていた。

「自分の中でせき止めている何か 目の詰まったフィルターがあった」
と当時を振り返って言う。

それは日本画というカテゴリーやら、払拭し得ない自己の概念やらが流動的な方向へ向かおうとしているのに対し、創作の出入口を塞いでしまっていたのではないのか?

梢が求める創作の本質とは、表現においての技術を通り越した“個”の潜在意識を如何に掘り起こすことに他ならない様子だ。

彼女は、そのー目詰まり状態ーを振り切るためドイツへ向かう。
そこでは観賞者にとっても制作者にとっても自由で開かれた場所があったそうだ。技術の枠を越えた個を尊重するコミュニケーションが往々に交わされていたのではないだろうかと思う。

彼女の不安はここで一掃され また歩み始めることになる。

帰国後、必然を持って現在の作品の原形が現れる。
それが先の<そらみいと展>で出品された、極めて鮮やかに彩色された作品(現在、ドイツ大使館 「世界と芸術でコミュニケーション-オンライン展覧会」にて展示中)であった。
2枚の薄い絹にそれぞれ異なった絵柄を描き 相乗して効果が出るように細工されている。

その一見 過剰かと思える色の氾濫は、彼女曰く「風景の中の微妙な異物」だと語る。
金網のフェンス、雨粒、蜘蛛の巣・・・などそれらは梢にとって特別なレイヤーとなり彼女の脳裏に焼き付くのだそうだ。

さらに今展では、<光>と<影>を取り入れた展示構成を計画している。
色に加え、<光>と<影>によって表現される新たな風景をどう織り交ぜていくのであろうか。

<記> SKKY_角谷 慶

梢 夏子 Natsuko Kozue
<履 歴>

1980年 大分県生まれ
2001年 成安造形短期大学 美術科 日本画コース卒業
2003年 成安造形短期大学 専攻科 美術日本画コース卒業

個展
2004年 「鴨川採集」 恵文社一乗寺店(京都)、新風舎/大阪(大阪)

グループ展、企画展
2002年 「をかしありますよ。」 ギャラリーマロニエ(京都)
2002年 「ART UNIV.2002」 大学コンソーシアム京都(京都)
2003年 企画展示  ホテルグランヴィア京都(京都)
2005年 第1回「そらみいと」 iTohen(大阪)
2005年 「絵本フェア」熱風書房(大阪)
2005年 「二階のディオラマ」Treadmark Kyoto(京都) 関美穂子との二人展
2006年  「繕いの便り展」SEWING GALLERY (大阪)
2006年 第2回「そらみいと」iTohen(大阪)

・常設展 2002年~ 年4回(各3ヶ月間)の作品展示入れ替え bizou(京都)