STORE

iTohen

exhibition

past

yuuku展「もとづくこと」

<紹介文>
今回、iTohenにて第35回目となる企画展では、生活にまつわる調度品の制作を行う< yuuku>をご紹介致します。

個人で運営する情報提供を主旨としたウェブサイトである“休皆”(やすみな)で彼らの活動を知り、私は直感ながらも強く関心を持ち、早速連絡をとってみる事にした。それが丁度1年前の出来事である。

聞けば<yuuku>は夫妻によるユニット名とのこと。寺本英幸氏が鍛金で様々な金属を用い主に器を多く制作し、夫人の由香子氏が布物を扱い、鞄からエプロンまで幅広く手掛けているという。

寺社仏閣に関連する前職で培った知識と、その後 京都市工業試験場の技能講習で習得した技術を礎に、寺本英幸氏の作り出す真鍮の器や花器などは非常に仕事の<痕跡>を如実に感じさせ、その一つ一つが出来上がる行程までの楽しさをも伝えてくれるようだ。
今や私達の暮らす住宅の多くでさえ、また現代に生きる私達の生活のあり方そのものが画一化されてしまいつつある今日、寺本氏の器ひとつをとっても相反するような仕事の求め方のように私は感じる。

たかが日用品なのだがしかし、yuukuの仕事は、どれもが“されど”という言葉が相応しいように思う。

yuukuと名付けた2人の込めた想いは以下のようだ。

「yuuku(ゆうく)は私達が作ったものに何か名前を付けようと考えた屋号のようなものです。世の中がもう少しゆっくり、ゆるやかに流れて欲しいという思いがあります。」

なるほど。想いと、作り上げられ提示されたものを拝見するとピタリと合点がいく。
「信じれる」と言葉にすると陳腐かも知れないが、あえて私の主観として述べておきたい。

今展は、彼等にとって初のまとまった発表となる。現在約50点程の展示を予定しているとのことだ。 元来、私達の持っていたはずの<わび>やら<さび>の引き出しをまた、金銭のみの余裕ではなく、心のゆとりの余白の部分を、彼等の作り上げる様々なモノたちで少しだけでも広げてみたいと思うのである。

<記> SKKY 鯵坂兼充

yuuku  <ゆうく>

<略歴>
寺本 英幸 Hideyuki Teramoto
1988年 京都芸術大学 彫刻科 卒業
同年 寺社仏閣に関する制作会社にて装飾金物のデザインに携わる
寺本 由香子 Yukako Teramoto
1990年 嵯峨美術短期大学 インテリアデザイン学科 卒業
同年 寺社仏閣に関する制作会社に入社